海。少し寝坊して6時半に出発。今日は天気が良くてすごい気持ちよかったけど、あんまり大きな進歩はない、おさらいデイな感じ。いくらかマシになったものの、とにかく筋力が足りない。威勢のいいのは最初の30分だけで、あとはダルダル。しかも週に1回だと、その最初の貴重な30分を様子見とか感覚の回復とかに使ってしまい、新しいステップに移行できるかもー、という頃にはヘバっているため、なんとも効率が悪い。語学や習字と同じく、初期段階においては最低でも週2、できれば週3のプラクティスが必要だな、とタバタと話す。とはいえ、テイクオフの感覚は毎回少しずつながら確かなものになりつつあり、膝立ちで乗れてよろこぶよりは、立ち上がってコケて口惜しがる回数の方が多い。やっぱりパドルが遅いからスープの中で失速しちゃうんだよなあ。あと波待ちがだいぶ楽になってきて(それでもよろけるが)、海に入っていられる時間が長くなったと思う。

今日でちょうど始めて1ヶ月、5回目になるわけだが、最初に言われた、3ヶ月がんばれば立てるようにはなる、というアドバイスが信用できるようになった。初回はこんなん3ヶ月くらいじゃぜったい無理だと思ってたもん。晴れた日曜で人が多かったため、他人のフィンで足の甲を切ってしまった。しかも両足。しかも2回とも同じジジイで、2度ともパーリングしたジジイが上から降ってくる、というパターン。しかしそれでも奴は俺よりずっとずっと上手だ。くそう。思わぬ日焼けで全身が痛い。モモ腰、ほぼ無風、ブレイク早め、3時間+1時間。少し太った(57kg、体脂肪率16%)のでもう少し締めたいところだが、このまま痩せると54kgぐらいで安定するから、その脂肪量のまま筋肉を増やして56kgくらいにしたい。いま使っている板は荒木くんが56kgのときに作ったものなので太るに太れないのだ。

帰り、国道沿いを歩いていると、20台ほどの族車が通り過ぎていく。とにかく驚くのは彼らのお金持ちっぷりで、いまや暴走族はよほどの所得がないとできない趣味になりつつある。アクセルミュージックと曲乗り、旗持ち、特攻服。20年前と何ら変わらない風景のようだが、20年前と何ら変わらない、ということをやるにはエライ金がかかるのだ。ベースとなる車両はZ400GPや同FX、GSやホーク、CBX、XJ(ペケジェ)、果てはKH(ケッチ)まで見受けられ、3段シートにアンコ抜き、シーシーバー、エバハンにロケットカウル、ヨシムラ集合かビート管。ここまでパーフェクトとは思わなかった。

彼らは完全なる伝統主義者だから、あらゆる細部に至るまで、名車、名パーツ、といったその筋のフォーマットを一歩も外さない。往時は盗みようもあったバイクたちもタマ数が減り、いまやガラスケースの中の存在だ。ゼファーならともかく、Z400GPなんて店で買ったら4,50万は下らないし、程度のいいCBXは僕らの頃ですら60万くらいしたから、パーツをひとつひとつ換算したらそこらへんのハーレーより金かかっているよ、ありゃ。そして伝説の族が駆け抜けたこの海沿いの国道を、9月とは思えない強い光線のもと、何度もUターンしてパレードしている。さびしさで胸がちぎれそうになる。彼らが新しく獲得する権威が、ファシズムのそれじゃないことだけを祈る。