クリスマスの日は繁華街に出て、LadyMという日本人パティシエの店でケーキを買い(中国人で大混雑)、小さなツリーを求め、帰りに寄ったレコード屋でマクスウェル「BlackSUMMERS'night」が半額セールにかかっていたので、これを自分に買う。この店、R&Bの棚が半分に減っていた。くそー。アーバンアウトフィッターで買うのやだな。中古はどうにも盤質が悪すぎてその割に高くて、ちょっと足が遠のいている。

そんなことを書き留めていたら不用意にベッドで寝てしまい、目覚めたときには楽しみにしていたTHE ROOTSのボストン公演を寝過ごしたことに気づき、何かこう魂に直接電極を差し込まれたような、たとえようもない衝撃に襲われたのだった。ほんとに自分の無能さと直面すると痙攣に近い感じでガクンと首が持っていかれる。これを経験するには無能でないとならないので、優秀なみなさんは知り得ない感覚であろう。勝ち誇ってみよう。

深夜3時、看板くらいなら余裕で飛んでくるなー、という突風が吹き荒れる。昼間氷点下にあった気温が11度まで急上昇して、生暖かい。心がそぞろになって、意味もなく散歩に出てみる。人っ子ひとりいない街路をずんずん歩く。風はごうんごうん吹いて不穏きわまりない。心細くて、とても楽しい心持ちになってくる。結婚したら、家庭を構えたら、こういう感情とは縁がなくなってしまうのではないかと思い込んでいた時期もあったのだが、まったく関係ない。いまたいへんに不安であり、ぞくぞくしていて、いい気分だ。