売り出し中の生家に一時退避的に荷物が残っていて、その仕分けと運搬を行う。昼に兄がうちに来て、簡単な打ち合わせをしてからレンタカーでワゴンを借りて、いざ立川。

まずは寺に寄って納骨の相談。寺の事務所の人間からはかねてより、様々な名目でちょいちょい金を引っ張られ続けているので、都合のいい財布というか、転がり込んできたホスト飼ってるみたいな気持ちになってくる。それなりに信心のあった兄弟がいまや死んだ魚の眼である。もう次はAmazonで坊主だなーと思う。さて荷物整理、というところでまさかの、兄弟ふたりして実家の鍵を忘れていたのだった。恐ろしい。

不動産屋に連絡をして、しばし時間をつぶしたのち、預けていた鍵をゲット、ようやく作業開始だ。マスクをして黙々と、ほとんどの物を廃棄に仕分ける。母よ、済まない。済まないがあなたの溜め込んだものは、あなたにとっては切実だったのだろうが、はっきり言ってガラクタしかない。どうなってんだこれ。人間の一生とは何だ。みたいな気持ちになってくる。

折からの雨と寒さ、湿気、そして日が暮れてきて気持ちが折れそうになるも、なんとか完遂。使える家具だけワゴンに積み込んで母の新居たる老人ホームへ、高速ぶっ飛ばす。昨夜はちゃんと寝巻きに着替えて寝たとのこと。とにかく馴染んでくれればいいのだが。子供の頃以上に兄と時間を過ごしている気がする。家族とはなんだ、みたいな気持ちになってくる。いい歳かっぱらって何だ何だばかりである。何一つわからないままである。無無明亦無無明尽。