もうおとついになるのだが17日の晩、近所のニコラで催されたけもののライブに妻と繰り出した。ささやかな、気張らない、しかし秘術的で胸を締め付けられるような、一生忘れられないであろう夜となった。企画者は胸を張ってよいと思う。

照明なし、街明かりのみの暗がりで、アンプの類も一切用いぬアコースティック。届けられた皿からは軽く、けものとカカオの匂いが立ち上り、五感がより鋭敏になっていることに気づく。朗読と歌、ガットギターの響き。表の風の音に耳をすませ、木枯らしに暴れる木の葉を見続けていたら、まだ夜が恐ろしかった子供の頃を少しだけ思い出した。調律が狂ったピアノまで演出だったとしたら、たいへんな罠に嵌められたように思う。

http://bokurano-mikai.tumblr.com/post/101847499916/at-nicolas