誰も見てやしない日記だのでツイッタには言わなかったことを書き留めておこうと思う。朝方、地震に見舞われ大層な揺れを味わっている夢で目覚める。恋人に「大きな地震が来ると思う」と告げると、なら犬を会社に連れてけと云うので、連れて出社する。
お陰で膝に犬、揺れは二度目。拍子抜けする程慌てずに眺めていた。
余震の中、社屋の屋上へと上がる。有事に人が取る行動は様々だ。私は町と空を見ておきたいと思った。要するに莫迦だと云うことであろう。やや離れたマンションの屋上に同じ類の莫迦がよじ上っていて、お互い見留めて会釈する。「どう?」という身振り。オーケイサイン。そっちは?「セフセフ」。
あとは揺れに酔ったか眠気がやってきてソファで寝たり、倒れた書架が散らした本を拾ったりしていたのだが、菓子を買いに出た帰りに突如悪い考えに囚われ動けなくなってしまい、電柱に凭れて泣いた。地震が、ずっと抑え込んでいた不安を炙り出してしまった。恋人と、別れることを決めた。
部下の一人が神保町に出たまま戻らないので、それの帰りを待ちながら、そぞろな気持ちでテレビなど眺めて過ごす。昂揚して調子の張った声を聞くのは煩わしい。通りでは、クレープを頬張り紙袋を提げた買い物客を、美容師が呼び込みしている。シュガーベイブの「いつも通り」がター坊の声で頭の中をぐるぐる廻り続ける。夢か現かと聞くも、最早愚かしい。夢でも現でも、揺れたわい。