あやかしに魅入られ

崖の上のポニョ、見てきたお。前日新宿で見ようと思ったら行列で諦めたんだけど、所用で出かけた大宮のシネコンはガラガラ。地方はいいなあ。そんで映画は個人的にはほぼ満点かな。ワグネリストが聞いたら卒倒必至のクズ音楽以外、非の打ち所がない。ハヤオはもうほんとにマッドネス全開のやりたい放題で最高。ハウルの1000倍やりたい放題。

筋を書くわけにもいかないので何に似ているか、という話になるんだけど、スタイルとしてはジム・ウードリングに似ている。ストーリーでいえば、逗子期の鏡花、件シーズンの百ケンに似てる。あらあら、ずいぶん大好きな固有名詞が並んじゃったな。というほど、僕が大好物とするところの怪談(それも夢うつつもの)の系譜に属する作品だ。

沖縄でもフランスでも竜宮城でも海中といえば死後の世界なわけだが、そのアウトオブ現世な彼岸・涅槃・桃源郷・黄泉・ワタツミ・竜宮世界の描写は最高。そんでこりゃ洋の東西を問わず洪水だわなーと思って見てると見事に大洪水であきれるほど素直。常世古生代になぞらえた趣向も成功してるのではないかしら。

アニメ的表現のうまさとして感心したのは赤子を抱いた母親のホラーっぷりで、何ひとつ違わず人間なのにひと目で誰もが違和感に気づくよう、ほんとよく亡霊感が出ていてゾッとさせられる。動きの良さについては言わずもがな、極上のサイケデリア。矢野顕子の魚群のイルさったらない。

プロデューサーとしての鈴木敏夫の手腕が最大に発揮されているのは、例の♪ポーニョポーニョポニョさかなの子〜をエンディングに持ってきたことだろう。タランティーノ流のB級ワイプエンドといい、国民的映画でミスティフィカシヨンとはさすが悪人の面目躍如。終演後、席を立つ子供たちの頭上には?マークがずらり、ひと言も発せられずにポカンとしている。素晴らしい仕事だ。

帰り道、ポニョと稚魚群の誕生について下賤な想像をめぐらせた。あのママとパパがファックしたんだろうけど、ボディサイズと構造からいっても通りいっぺんのファックじゃ許してもらえなそう。というか魚群あんないっぱいいるし、せっかく卵生なんだから、交接スタイルじゃなくてサケみたいなそのー、Bukkake? だったのかしら、とかそういう。どっとはらい