アクロバティックでオーセンティック

町でうわさの天狗の子 2 (フラワーコミックスアルファ)

10日に出てたのにようやっと買いました。モモの同人打ち上げで薦められて以来読み進めていた岩本ナオの最新刊。すごい才能だと思います。セリフうろ覚えだけど、「うちのママはちょう年上好みで、400歳年上の天狗に恋をした。そんで産まれたのがあたし」。という冒頭にノックアウトされ、完全に持っていかれてしまった。いい出だしだなー！

既刊すべて読んだところ、基本的にこの人、自分じゃどうにもならない境遇を背負い込んだ人の生き様、に興味があるみたい。たとえば天狗の血が流れてるとか、家庭がどうだとか、生まれた場所がどうだとか。もちろん我々にだって(天狗ほど派手じゃないにしろ)どうにもならないことはいっぱいあって、そこんとこはやりくりしながら日々は日々として過ぎてたりするわけじゃん。その日々を描かせるとほんとにうまい。ぎゅんとくる。

結果、主人公が天狗の娘、というちょうアクロバティックな設定が、日々のちょっと凹んだりちょっとうれしかったりちょっとときめいたりというオーセンティックな少女漫画っぷりに説得力を付与する、という不思議な状況になっていて、あと東京生まれには想像も付かない土着っぷりとか、ちょっとほんと稀有な才能だと思うなー。

　　

来月また別の新刊が出るみたいで、これは完全ノーチェックなのですげえ楽しみ！

雨無村役場産業課兼観光係 1 (フラワーコミックス)