熱が空に還っていくように、日々はあとかたもなく蒸発していく。せめてカルキの染みでも残してくれればいいのに。

一日のちょうど半分を六本木ヒルズで過ごしています。クリーンで余裕のあるユーティリティを備えたこのビルも、昼時にはやっぱりトイレが塞がってしまい、仕方なくフロアを変えてもやっぱり満室だったりして、そんなときにはリーマンやゴールドマンサックスの鬼たちが巨額の富を動かしている側面なんかすっ飛んで、ビル全体が巨大なウンコ製造装置に思えてきます。流されたウンコは壁面をツリー状に張り巡らされた下水パイプを高速で移動し、11ケタの商いの隙間を縫って重力に導かれ、地下のタンクを目指します。もしウンコにだけ反応するX線カメラがあったとして、それでビル全体を1日撮影し高倍速で再生したなら、モニタには張り巡らされたパイプに沿ってひゅんひゅんウンコが飛び交う絵が映し出され、もっと高速にしたら残像がヒルズの骨格を描き出したりするのでしょう。そんなことを思いながら便座に腰掛けているのでした。