けっきょく興奮して寝付けず、3時頃いったん海見に行ったりして、明るくなり出した4時半から入る。なのにもう海にはけっこうな人数。そしてひっさびさの頭サイズ。もうゲットからして感覚が違う。ショアブレイクで渦巻いているからパドルする手が重い。ドルフィンだって気合いが入る。セット間が長いのですんなりアウトに出られたのだが、やっぱりスケールが普段とは段違いだ。ひとつひとつのうねりがデカく、重く、ゆったりしている。腰ぐらいの風波だとそこいらじゅうザバザバ水面が乱れているのだけれど、今日はオフショアのせいもあって、水面はローションかなにかのようにツルンと光沢を放っている。タプタプと揺れているその鏡にピンク色の鈍い朝焼けを写して、その瞬間だけ切り取ると凪ぎの日みたいだ。

けれどひとたびうねりが入れば、今日が台風デイだと気づかされるだろう。海面ごとエレベーターに乗ったようにに何メートルもリフトアップされて、そして下降し、背後ではそのうねりが崩れ落ちる轟音がどうどうと聞こえてくる。セットが入れば、そんな悠長なことは言っていられない。頭ちょいとはいえ、まともに食らっちゃ堪らないから、みんなして沖に向けてパドリングだ。エキスパートなロングのおっちゃんが、その頭上からテイクオフしていく。よくあんなの乗るなあ、なんて言っていられない。僕も乗るのだ。迷ったら巻かれてコテンパンにされる。行くと決めたら行く。落とすと決めたら落とす。よくサーフィンのことを波乗りと言うが、実感としては乗るというより滑り降りる、さらにこんな日は滑り落ちる、である。

風にあおられて波頭のシャワーが顔にぶつかる。視界が一瞬真っ白になるがそんなことにメゲていらんない。あとひと掻きでボードが滑り出す。覚悟を決めて板を落とす。刹那、真空。なーんてな。やっぱうまく書けるわけないわ。ムリムリ。視界の右半分が立ち上がった水の壁になる瞬間を、どう伝えたらいいのだろう。次から次へと湧き上がってくる、不思議な斜面のことを。背後から足下を捕える白い泡のことを。その瞬間はあまりにも短く、そして世界をそれだけでいっぱいにしてしまう。滑り降りているそのあいだ、僕には過去も未来も別の場所もなくなり、いま、ここで巻き起こっている感覚だけで自分が満たされているのがわかる。だからここでは言葉は用をなさない。現実に追いつける言葉などない。あらゆる言葉は過去のものだから。何の話だったっけ?(笑)

まあとにかく、乗ったよ、頭ちょいのセットに。すぐスープに捕まっちゃって何もできへんかったけど、とにかくテイクオフしてカッ飛べた。その瞬間にちゃんと身体が対応して動いてくれたのが、なによりうれしい。積み重ねってばそういうものなんだろう。反射神経に運動パターンを叩き込むのだ。そんで驚いたことに、このあとも何本か、会心のセットを拾えた。正直、俺もここまではやれるんだ! ってすごい自信がついたよ。サイズも良かった。頭ちょいって、恐怖と楽しいがちょうど半々くらいのバランス。これを超えると怖いが勝っちゃって腰が引けるんだけど、ギリギリ突っ込んでいけるデカさだった。あと1時間遅く入っていたらもう楽しめるサイズじゃなくなってたな、と思いながら大満足で海から上がった。<117回目>湘洋中前、やや強オフ、セット頭、厚め、2時間半。

帰ってきてからは興奮と疲労で一日使いもんにならず。ぐう。

mixiより
達郎さんの原稿がきょう最終フィックスしてひと安心。 しかし俺はほら、割と人に会う仕事だけど、人に会って 感動したってのは何年ぶりかだったよ。達郎さん。 ほんとに、ほんとに音楽が好きで、好きで、好きなんだな。 別に対象がなんであっても、あんくらい身を捧げてないと いっぱしのもんにはなれないのかな。どうなのかな。


近所の小学校の校庭には、フラードーム様のジャングルジムがある。

台風キターーーーー!! 興奮して眠れず、4時半から入ってきました。サイズはセット頭。雄大なうねりに感動して帰ってきたのだが、アウトの様子なぞ写真にはまったく写らない。凪いでいたピンク色の海面がやおらもりもりと数メートル盛り上がり、そしてこらえきれなくなってドシャーンと崩れるあのさまを、もしくはセットが去ったあと、微細な気泡が海水に溶け残って、足下が白みグリーンに染まるさまを、サーフィンやらない人にどう伝えたものか。つうか移り住んでよかった!!