きのうは一日じゅう動いたので、とても疲れてしまって、割と昼型に是正されていた睡眠ペースを完全に崩して寝こけてしまう。外に出るとこちらの心の準備を上回って蒸し暑い。これはカレーだな。というわけで、遅めの昼食は八幡駅北口のダージリンで、チキンとマッシュルームのカレーを。ここは渋谷駅近辺を含むこの辺りでもっとも文句の付けようないインド料理屋で、なにが素晴らしいってスパイスにおいて一切の配慮、出し惜しみしない点であろう。要するによく言われる日本人向けアレンジがあんまりされていなくて、それは結果として、すげえスパイシーだけど辛さはそんなでもない、という、体験してみないと納得行かないだろう表現を導き出す。

おなじみの話題だけど、イヌイットにとって「雪」という単語はなく「積もって固まった雪」とか「風に吹き飛ばされている雪」といったよりディレクトリの深い分類にそれぞれ単語が割り振られている(そしてその細分度はその対象との親密さに比例する)みたいな話で、もしくは中華料理におけるカラさが辛だったり辣だったり麻だったりに分類されるように、インド料理におけるスパイシーにもいくつものジャンルがあって、そこでは「辛い」は要素のひとつでしかない。でもどうやら日本人は「辛い」以外のスパイシーさがあんまり得意じゃないようで(代表がパクチーだろう)、伝統的に「辛い」を主軸に据えたスパイシーにばかり振られがちだ。おのずとスパイシーさを求めるとド辛いものばかり食べさせられることになる。

かましい話になってきてしまったが、とにかく、ここならレッドペッパーやカイエンペッパーで無理に地獄ラーメンみたいに仕立てられた辛さなしに、ド深い奥行きのあるスパイシーさを味わうことができる。加えて内装のむちゃくちゃなインド具合。アンティークの銀食器など、ほんとに気分がカレーになる。好きな店だが、ここともあと10日だ。待っている間に、となりのテーブルに、アメリカ人だろうな、ってしゃべり方の父息子が入ってきた。「まだ友達はひとりもできないのか」「いいんだよ、友達なんかできなくたって」「そんなこと言うもんじゃない。独りきりは寂しいぞ」「父さんだって日本人を家に連れてきたことないじゃん」「・・・来たぞ、食べよう」。みたいな会話を盗み聞き(笑)。晩にカンちゃんが来宅、新雑誌バナ。

書き忘れていたが、昨日の晩、ジャリの散歩をしつつタバタと電話していたら、近くでドガシャーって音がして、顔を上げるとスクーターが路面を滑っていた。あ、わり、掛け直す、と言って電話を切り、歩み寄りながら119を押していた。転倒時前後にいたクルマの人たちが降りてきて、交通を1車線殺してくれた。倒れている女の子は足を打ったみたいで、起き上がれなそうだ。意識混濁はないが、痛みからか苦しそうに返答をする。なのに、おもむろにケータイを手にすると誰かに「こけちゃって〜」と話しはじめたのには苦笑させられた。本人が自損と認めたためスクーターを起こして路肩に移動してやって、救急がやってきたところでお開き(お開きって・笑)。もうさー、毎日のように事故、事故、事故だよ、山手通り。うんざり。