全方位的に心配をおかけしていて、ゴメン。生きている。社会復帰まではまだ時間がかかりそうだ。酒を飲んだりクラブに繰り出したりショッピングしたり展覧会を見たり、なんていうことはもう何ヶ月もしていない。おかげでそういうんじゃない時間の過ごし方があるということに気づかされた。俺はいま、かなり動物方面(東の動物じゃないよ・苦笑)に振れている。毎瞬毎瞬、脈を感じ、筋を推して、熱を見守り、意識を渡している。身体はこりゃほんとにワンダーランドで、何でも起こるし、こうやってウォッチしてりゃ一生過ぎちゃうほどドン深い。この深みに、ちょっとでも超越的な言葉を被せてやるとオウムになっちゃうのが、いまならすごくよくわかるし、そうならないための技法、というのもある。

いずれにせよ、もうしばらくはこんな暮らしが続きそうだ。ネットは書くのどころか見るのも読むのもなかなかままならない。しかたなくパワーブックを落とし、テレビを消して、本も閉じ、ただ何をするともなくただ身体にぼんやりと意識を飛ばしながらベッドの上で時間を過ごしていると、これまでの暮らしがいかにメディア漬けだったかに気づかされる。まあ身体はメディアである、と言った人もいるわけだけれどそれはそれとして、仮にこういう時間を「非メディア時間」と呼ぶとしたら、それはここ10年ほとんど失われていた気がする。ああ、海だけか。海は「非メディア時間」だった。わー。いずれにせよ、我々はかなり特殊な筋肉を使わされていることに気づいた方がいいみたいだ。ああ海に行きたい。それだけはいかんともしがたい。