明け方、帰省中のタバタの車を借りて、ひとりでドライブに出る。何が起こるわけでもなくただ夜明けの都内を流していただけだけど、とても大切な時間となった。こういうのはうまく書けることじゃないな。クルマをコインパーキングに放り込み、晩に備えて、眠る。去年は浴びるほど、というか実際に頭から浴びりしたのだが、酒びたりの年越しだった。あれも狂騒的で悪くはないもんだが、しかし一抹の徒労感がつきまとうのもほんとうのところである。今年はクルマで動けば、とりあえず酒からくるヘベレケや制御不能は回避できるだろうと踏んでいたのだが、そして実際のところそうなったが、でもやっぱり盛り上がっちゃって、あっちゃこっちゃでやっさもっさな年越しとなった。

まずは布施明のエンターテイナーっぷり、曙の白ガマっぷりを堪能してから、1年のお礼を言いに古今へ。続いてパードン庵で年越し蕎麦。除夜の鐘とアケマシテオメデトウゴザイマス、という声がテレビから聞こえて新しい年に気付く、のだが、それよりパードン庵にテレビが導入されてるのに気付いてびっくらした。それから古今へ戻って女子2名を拾い豊川稲荷。虎屋のイートインは4時まで営業で牛久保にオイッス。電話が入って目黒のオフィスへ。ニンニンや相沢らとしばらくダベって、阿部・岡部さんといっしょに大鳥神社。リョウタさんも合流してみんなでおみくじ。恐ろしいことに、連続で引いたわけでもないのに、僕ら5人の中で、阿部、リョウタ、ゲンの3人が29番の末吉を引いた。しかも3人とも獅子座(笑)。末吉の割には、なんか前向きで夜明けムードの言葉ばっかりだったな。

そんで阿部岡部と別れて、都会の秘境、と呼ばれる中野のリョウタ邸に。秘境と呼ばれるのも当然で、どうやら他人が分け入ったのは我々が初めてのことらしい。CD棚を荒らしてから都内をクルージン、築地の場外で寿司を食ってから晴海埠頭で初日の出を見た。曇りの予報を覆して晴れ晴れしい初日だったし、お台場にずいぶん人をとられてしまったものの、晴海に集まった人々の淡く軽やかな信心に取り囲まれて、すこし心が強くなった気がした。前にも書いたけど、この国は無宗教なんかじゃ決してない。初日の出に大勢人が繰り出し、テレビ中継までする国なのだ。僕はこの国の人のそういう信心がけっこう好きだし、でも今年はさすがに、そういう信心のエネルギーが日章旗とかバンザイとかそういう方面に仕向けられることがなければいいなあ(でも仕向けられるようなできごとばかりになりそうだなあ)、と思わざるを得なかった。

休みがちでしたけど一年間、お世話になりました。今年は端的に言って停滞と精算の年でした。でもこういう年もあるもんだよな、とも思っています。今年僕は、アッパーの他にダウナーとニュートラルを覚え(ドラッグの話じゃないよ)、攻めの他に守りと回避を覚え、入力の他に抜力と脱力、増幅の他に抑制とキープを覚えました。というか覚えざるをえなかった。そしてそれは、来年からどう転ぶかわかりませんが、僕の人生をいい調子にしてくれる気がしています。来年もどうぞよろしく。君は僕の友達です。みんなで生きていこうぜ。