そういえばこないだ、ひさしぶりに気絶した。失神、より気絶と書いたほうがより近い。立て膝みたいな姿勢から気を失い、床に頭を打ち付けたあと動かなくなっているのを、ゴスンという音で目覚めた451が気付いて揺り動かし、エ、俺、いま、あれー、何、気絶してた? と事なきを得たのだが。気絶していたときのかっこうが、究極ゴメンナサイの土下座、とでも言えばいいのだろうか、額でなく頭頂部から後頭部にかけてを床に着けた、すんごいつんのめった土下座のポーズだったというのも情けないが、それに輪を掛けて情けないのが気絶した理由で、カナダドライだかシュウェップスだか忘れたが、原因は炭酸飲料だった。

開けたてで炭酸の勢いがいいところをぐびっと飲み下したもんで、のどもとを過ぎてから一気に泡立ち嵩が張ったわけだが、通常ならゲップなりなんなりでガス抜きされるところ、何かの拍子でのどぼとけのあたりが締まってフタされてしまい、胃から食道にかけてが風船のように膨張し胃の壁が伸びて薄くなるイメージを抱いた刹那、ブラックアウトした。嚥下関連に支障を来すとは、いよいよご老体も本格であろうか。しかしあれ以来、おそろしくて炭酸の入ったものを口にするとなれば、ちびり、ちびりとしかやれず、女みたいな景気の悪い飲み口になってしまうのである。コーラをぐびり、ゲフー、ヤダきたなーい、なんて笑ってられるのも、セイシュンのうちだと若者諸君は心してゲップに励んでいただきたい。