5時前に集合して海へ。今日はサンライズ。トロ速ダンパーで胸くらい、見かけより乗りづらくて俺がハマりがちな波だった。これまでほとんど同じ進度でやってきたタバタだが、今日はかなりはっきりとした差が付いてしまい、凹む。簡単に言うと、立てば俺の方がうまいが、立つまではタバタのほうがうまい。奴は俺が乗れない波に乗れるのである。そして乗れる数が多ければターンの練習をする回数だって多いわけだから、立ってからのターンだって俺を抜くのはすぐだろう。乗れる乗れないの直接的な要因はパドル力に収斂するわけで、とにかくさらなる筋力アップを図らないと置いていかれる。と痛感した。そしてずっとほっぽっといたハルコはたいへんなレベルアップを見せていて、上がるとき、あれハルコいなくね? と言って見回したら遠くからそれなりにサイズのある波にゴシューって乗ってくるのが彼女だった。もう海沿いの風は十分に冷たく、ウェットスーツの上からでも体温を奪っていく。さすがにこれだけ寒いと懲りるだろ、と思っていたら「ねえフルスーツっていくらするの?」って笑っている。ハルコにまで置いていかれるかもしれない。<87回目>サンライズ、サイド→弱オン、腹ムネ、トロ速ダンパー、3時間ちょい。

帰りは驚くべきスムースさで道路行政の恩恵に預かり、湘南から帰ってくるより早く東京に着いてしまった。夕方、宮下公園でやっているサウンドデモに菊地さんが出るというので451を連れて出かけたが、着いたときにはもうライブは終わった後だった。ヤマグチがいるというので電話して落ち合うと女の子を連れていて、後ろ姿だったので遠くからは誰かわからなかったが、振り向くと「ゲン!」と呼ばれて懐かしい顔なのでびっくりしてしまった。アコねえだった。元気そうだ。デモについては常に言っているとおりで、デモに限らず、あらゆる集団行動は実行に移した段階で失敗する(言い換えれば砂場で美しい砂山を作りたかったら、圧政を敷くか、誰も来ないところで独りで作るしかない)。の範囲内だったが、失敗としては悪くない失敗になっていたのではないだろうかと思う。もちろん俺は誰も来ないところで独りで作る、を選んだ人生なので参加することはない。偶然会った日高さんを誘ってノンへ流れてから、家に帰る。砂場に帰る。

夜、長く悪い夢を見た。最後の部分だけ覚えている。俺は追われている。何か、自分の所属する団体、お役所か法人かが汚職だか失敗投機だかをして帳簿に大きな穴を開けてしまい、そのトカゲの尻尾切りとして、自殺に見せかけた形で殺されるのだ。そこはどうも山奥に作られた施設らしく、最寄りの駅を避けて山を越えた側の駅まで逃げたり、東京とは逆方面の電車に乗ってどうにか追っ手を欺こうとしている。とある駅で俺は路線バスを使うことを思い立ち乗り換えるのだが、眠ってしまって終点で目覚めると、逃げ出してきた場所からほど近い停留所で、再び俺は姿の見えない追っ手から走って逃げるはめになる。魚介類か山菜の加工所、みたいな倉庫然とした建物に逃げ込んでドアを何枚も開けていると、なぜか辿り着いたのは吹き抜けたガラス張りのモダンな空間で、そこはまさに逃げ出した施設、美術館か何らかのミュージアムなのだが、そのロビーなのだった。

背後の追っ手とは別に、そこには待ちかまえていた二人の男がいて、片方が事務的な口調で「というわけで、まああなたには死んでいただくわけなんですけど」と言い、続いて手のひらに載せたものを見せながら「これを、ここに嵌め込んでくだされば、はい」と続けた。見るとそれは5センチくらいの石英か白水晶の結晶で、壁には鉱石ラジオみたいなオールドファッションな機器が展示されていて、どうやらその石を台座に載せると俺は電気ショックか何かで死ぬようで、それをこれからこの手でやらされるのだ。俺はあまり取り乱さず、はいはいわかってますよ、みたいな素振りで聞いているのだが、数人の男に取り囲まれて、死ぬのはまあいつか死ぬんだからしゃあないがこいつらの保身のために死ぬのは嫌だ、というひどくありがちな感慨が込み上げてきて、じたばたと暴れた。恐怖にむせびつつもがきながら、長い夢だな、と思って目覚めた。