朝のうちにひと仕事終わらせ、雨の中を恵比寿へ。インタビューを終え(今月はインタビューばっか。これで5本め)、リョウタさんとルノワールでお茶。渋谷のルノワールが潰れてニューヨークなんちゃらファッキンカフェ、とかいうのに変わってしまって以来ひさしぶりなのだが、壁紙などが幾分新しめな素材なものの、入った瞬間から、ダルな空気に見事に呑まれてしまい、ルノワール・マジック健在か、とほっとする。しかしあれは本来、ヤッタルデー精神に満ちたアドレナリン種族である外回り営業の人向けに、溌剌さの金属疲労を防ぐため開発された鎮静装置なので、もともと発奮成分が乏しくボケっとした我々にとってはやや強すぎるマイナートランキライザーみたいなもんで、一気に心身が弛みきってしまったため寒さを引き込んでしまい、帰宅するまでには悪寒to震えが僧帽筋を包み込んでいた。寝込む。

各方面から、いつやんの? やんないの? とせっつかれていたお茶会だが、10月の後半にやろうと思っている。秋の鉄観音が18日に届くためだ。今年は春の出来が思わしくなかった(というかガッカリだった)ため、否が応にも秋への期待が高まる。それに、春の黄枝香の状態が、いまなぜかめきめき良くなっている。単叢には油断のならないところがあって、たとえば時間が経つごとに線形的に劣化していく緑茶と比べると、いつ飲み頃なのか判断しかねるのが楽しい。このお茶も届いたときには海苔臭くてウヘーこんなの1斤も買っちゃったよ、と放っておいたのだが、今月に入って俄然華麗なクチナシの香りが高まってきて、得した得したと毎日笑っている。しかしそれもまた移ろいゆくもので、もっと香るぞ香るぞと寝かせていて、なんてことないお茶に落ち着いてしまったこともあり、要するに何事も潮時ってもんがある、という話になってしまうのかー。