まだ5月だというのに台風上陸である。素晴らかしい! ご存知のように昨年から、俺にとって台風とその影響が持つ意味はまったく変わってしまって、要するに波が立つのだ、普段とはサイズもパワーも段違いの。で、朝っぱらからそわそわしっぱなしでタバタと出かける。しかし天気図で見る台風の進路は理想とはほど遠く、あまりうねりを期待できないどころか、風による悪影響の方が大きいのではないかと思われる状況。辻堂に着いてみると案の定台風スウェルは届いておらず、ただの天気が悪い小波の日、って感じだ。雨のパラつき始める中、別のポイントを見に回る。馬入川河口の、通称ザ・ベイというポイントが気になっていたので寄ってみるが、コンビナート然とした工業プラントとコンクリート護岸に囲まれ、川から流れ込んだ生活排水で水は濁りまくったなんともデスな海でびっくりした。大雨のあとは川から流れ込んだ砂が付いて凄い波が立つそうだが、しかしこの荒涼な風景では・・・。

結局辻堂の第2に戻る。入ったときは腰ほどもないインサイドのタルい波だったのだが、1時間もするとなにやらサイズが上がってきて、波数は少なくてセット間は長いものの、それだけに入るとパワフルなブレイクで乗りやすい波に。雨はどんどん強くなってきて、いわゆる豪雨の領域に十分突入しているのだが、おかげで人も少なく、週末の湘南にしては希有なくらい気持ちに余裕を持って遊べた。どしゃ降りでけぶった海上に浮かんで沖を見ていると、妙に幽玄な心持ちになってきて、しかしそんなのお構いなしにアタマほどのセットが入ってきて、いきなり禅からアドレナリンにモードチェンジするのが面白い。3時間近く経った頃、とうとう波高が浜のキャパを越えてしまい、クローズアウト。タバタもちょうど疲れ切った頃だったので、いいタイミングで入って堪能できたと笑う。<70回目>辻堂西、大雨オフ、トロ厚→クローズ、腰→アタマ、3時間弱。

ところで特筆すべきなのは、なんかねー、タバタがものすごく上手くなっていて。俺はほら、千倉合宿で割とぐんとレベルアップしたわけだけど、そういうのもなくて週末サーファーのままで俺と同じくらい乗れているわけだからなんとなく奴の方が上手いんじゃないかという気になってくる。特に違うのは、タバタは波を選別する目があんまりなくて、どう考えても乗れない波にもアタックしていくのね。それはその瞬間だけ見ればアホな姿なんだけど、でもそのアタック数の多さによってパドル力が鍛えられていて、あとギリギリで乗れるか乗れないか、みたいなときにも必ずアタックしていくので、結果として俺より波に乗る数が多いのだ。これはなんというか、すごく考えされられる。俺は割と慎重派で乗れる波しか乗ろうとしないしその選別眼はそれなりに(少なくともタバタよりは)あるつもりなのだが、しかしそれが結果として乗れない原因になってしまっているのだ。うむ、もっとやたらめったらに突っ込んでいく愚かさを獲得せねば。