昨年の秋から暮れにかけて、人生でも稀にみる落とし物シーズンを迎えた俺だったが(財布×2を筆頭に、名刺入れ、裸の免許、裸の6万+1万+1万、他)、その後あまりに大きかった打撃に自我が抑制を利かせたのか、少し落ち着いてきたところだった。だったのに。ああもうさっくり書いちゃえ、教習所の卒業証書をなくしてしまった。今日ようやく鮫洲が空いている時間に暇ができて、さて行くべかー、と思ったら、その、ないのだよ、完璧に。そんでまあ遅刻と紛失は根がいっしょで、いわゆる達成恐怖、ないしは成長不安にあることくらいはわかっているんだが、しかしそれにしても、そんな言説吹っ飛ばすくらいに酷すぎる。少し泣いたよ、俺は。再発行の手続きを千倉に電話してお願いしたのだが、前代未聞だと呆れられる。ちなみに免許証は再発行の回数が免許番号の末尾ひとケタに記録されていて、俺のナンバーはいま現在5だ。生涯の間に二桁に突入して、免許センターの記録システムに2000年問題みたいな障害を引き起こさないよう祈っている。なんなら9の次はAとかアルファベットにしてくれ。

ところで千倉に行ってしまってさっぱりほっぽらかしになっていた映画100本バナだが、せっかく92本まで見たので、あと残りを一気に片づけたろうと思い、ひさしぶりのツタヤへ行く。今日から半額デーが始まるので、フロアはまだ5時前だというのにけっこうな混雑だ。ミュージカル棚を見ていたら、目の前でフレンチ・カンカンを手に取った可愛いギャールがいて、よっぽどその映画は最高だ、そしてそれを手に取った君の腰のくびれもこの映画同様人類史上の傑作だと思う、と言いいかけたが、すんでの所で思い止まった。あと10年早くレンタルビデオの会員になっていたら、たぶん俺はツタヤでナンパしまくったりしていたんだろう。なわけない。帰ってすぐアメリカの夜、を見る。心優しい映画人のための映画。