昨日から教習は第2段階と呼ばれる路上&実践編に突入していて、それと同時に法定で定められた教習時間が1日2時間から3時間に増えた。この1時間がけっこう大きな違いで、夕方海に入る前に、ああきょうは割と乗ったなあ(クルマに)と思ってしまう。3回とも異なるコースを辿るのだが、海沿い、山沿いとそれなりにバリエーションに富んでいて、殊に海沿いは波の様子を見ることができるし、折からの晴れ模様にも助けられてドライブ気分だ。ドリカムが聞きたい、と思う(笑)。何の曲か知らねえけど、とりあえずドリカムかかってるべきー、とかそういう感じ。そうかあの音楽はそういう用途だったのか、なるほど実用的だ。8時、9時と朝のうちに2時限消化。

お昼を食べたら海へ。うっわー、連休のおかげで、そしてSARS禍のせいもあって海は混雑。いつもの右手はいっぱいで乗れそうにないので、瀬戸浜よりに入る。ロングボードいっぱい、ビギナーさんいっぱい。サイズ小さいのでインサイドのブレイク。あまり調子が出ないが、それでも何本かいい調子で拾える。しかし横に走る最中に失速してしまう課題は克服できず、トリミングとアップスンが当面の課題だ。もっと波のいいところ、パワースポットに居続けられるよう心がけたい。3時過ぎに上がって、オドヤで野菜生活、その後教習。サーフィン後なので眠い眠い。いつも一緒に昼食を摂る教官が、都会暮らしと田舎暮らしとを経験して会得した彼なりの諦念と達観、みたいのをボソボソ語り出して、ちょっと得した気分だ。ここにも内向的で考えちゃいがちな人がいたよダディ!

その後、はじめての学科授業。学科免除の者でも、高速道路と救命救急にまつわる2コマだけは法令で受講しなければならないようになったらしい。講師は先日の磯村(というか、最近の俺内あだ名は田舎歌舞伎。ドサ回り、つまり梨園ではなく夢芝居系列の壮年歌舞伎役者に多く見られる、ドーラン灼けした切れ長の険しい顔つきだから)。授業はビデオ半分、講義半分。講義は想像していたより、というか16のときに二輪の免許を取った教習所よりよっぽど実践的かつ理論的で、まったく退屈せずに聞き入ることしばしだった。試験対策的なポイントを押さえつつも、法令のひとつひとつについて、なぜそれがそう規定されているのか、他の条項をひもといて合点が行くように説明していく手腕は鮮やか。いや、失礼かもしれないが正直なところ、ちゃんと講義になっていたので驚いた。反面ビデオは退屈ー。へんなCGのインターフェイスがもっさり冗長で、学生時代そういうのをバイトで作っていたことをちょっと思い出したけど。

5時半くらいから再び海へ入る。潮が多くて海面がブヨついてきたが、人はずいぶん減っていい感じだ。陽は穏やかに沈みつつあり、夕暮れは淡い。セットが入ってくるのが見えるたび、必ず「胸張る、スタンス広く、アイーンのポーズ、膝落とす」とつぶやいてテイクオフに臨むのだが、最初のふたつは染みついてきたものの、あとのふたつはなかなか身体に浸透してこない。行為の最中に思い出して実践するほどの余裕はないので、意識せずとも身体がそう動くまでただただ自らに仕込むまでだ。アイーンのポーズは要するに、ターンする方向に大げさに肩を入れるための苦肉の策。しかし常にひとタイミング遅く、一瞬の棒立ちモーメントを挟んでしまうのをなんとかしたい。ここのところいつも真っ暗になるまで残っている、日章旗みたいな柄のロングの子が今日もいて、どちらが最後まで残るか、軽く意識しあいつつ星が瞬きはじめるまで粘る。今日は俺が最後。<56回目>千倉、ほぼ無風、腰ハラ、トロ厚、2+1.5時間。

夜はアベくんが送ってくれたスケボーで、無人の教習コースを使って(見つかったら怒らりるの必至)トリミング、つうかチクタクとバックサイドのターンの練習。チックタックはどうしてもレギュラー側ばかりで進んでしまう癖があり、グーフィー側でも右と同じように漕げるようになりたいのだが。そんでこの動作が波乗りでスープに捕まったときに繰り出せると、あと何秒ぶんか長く、浜まで乗り継げるようになると思う。ふと気づくと、1日中波乗りのことしか考えていない自分を発見する。三昧、というやつである。人生の中で、対象はなんでもいい(無線傍受でもスカトロでも)、三昧と呼べる状態の占める割合が多いほど良いツラになると思う。それが湾岸ミッドナイトから教わったことであり、そういう実体哲学、みたいなものを小バカにする季節はもうとうに過ぎた、ということだ。