起きてちょっと仕事の電話とかしたりして、あと独立したボンド博士の新店舗で髪を切ってから、親父の病院へ。冠状動脈のバイパス手術を受けるそうなんだけど、この手術には諸事情あって政治的な理由から慣れてねえのにむりくり強行しちゃう病院の話とか聞いていて、適当そうなとこだったら信頼性の高い医師のところに転院させてやろうと思っていたのだが、きのう病院名を聞いてみたらその転院させたろ、と思っていたところに入っており、執刀医もまさにその人だった。あらなんか妙にスンナリだわね。あれだ、大和成和病院の南淵医師。なんで知ってるかっつうと、手術ビデオを患者にダビングすることで一躍トリックスターとなった、苦笑ものだな、ブラジャによろしく、のモデルになった人だ。

南林間の駅からタクって病院へ。残念ながら医師の手術説明には間に合わなかったが、先に駆けつけた兄の話と書面からだいたいの事情は察する。あまり、というか、かなり良くない。全身の動脈硬化が進んでいて、普通バイパス手術って脛の動脈を使うのがポピュラーなんだけど、そこの動脈も使えるかどうか切ってみないとわからない、という。しかも設けるバイパスは3本。人工心肺を使わない心拍下手術(それにしても、ハトヤのマグロみたいに動いている心臓によくも6箇所も血管縫合できるもんだと思う)でなるべく行いたいが、心不全の可能性が高まれば人工心肺に切り替える、切り替えた場合は血栓が多臓器に回ってしまう可能性が経験的に40%近くある、その回った先が脳なら脳梗塞の危険がある、要するに死ぬかも、という話。またいずれにせよ手術が成功したところで全身の動脈はボロボロであり、お先の長い身ではない、とかそういう。アカウンタビリティやね。

病室で会った親父の姿については、まあ正直書けないわ。それなりに動けるんだけど、まあ伏せっちゃってるとね。もう古稀越えだし。お袋はひさしぶりに息子二人が揃っちゃったもんだからやたらと饒舌になっていて、それを兄弟が病室なんだから、と差し止めると親父が苦笑いする。それでも3時間ほど滞在して、別れ際、指をクイクイって曲げるピースを親父にすると、そりゃなんだ、って顔をする。ピースだよオヤジ。ありったけの。兄貴を連れて帰宅。魚力で晩飯、関アジと皿鉄火。まあ積もる話だのなんだの。ひとしきり話してパソコンを覗いたところで、アンテナをちゃーっと流し見していたら、ええーっ、という記事はっけん。特番に続く。


【特番】セグウェイさんに乗ってきた

セグウェイが大森に! という記事を俺ニュースさんではっけん。父の手術を翌日に控えつつも、速攻シイナに電話かけて呼び出して、行ってきますたよ。行き先は大森駅前のファンファンというゲーセン。店頭に着くと、


もういきなりこんなで


店頭のちょっと引っ込んだところに、無造作に

しかしそこそこ入っているお客さんは誰も気にしておらず、奥でパチスロとかに興じている。みんな正気か? いずれにせよ無料乗車券はUFOキャッチャーの中だ。景品を捕らなければ。


誰でも1回で捕れます。クレーンで山を崩す感じ

チョコレートに巻き付けられたチケットをむしり取り、いざ店員さんへ。ところが「うあー、セグウェイは12時までなんですよ」とのお答え。現在12時10分。がー。千葉から来たんです!(半分嘘だが半分ほんと)とかゆって泣きつくと、渋々ながら「わかりました、出しましょう」ヤホーイ!


チェーンの南京錠を外して

ゴロゴロゴロっと。血圧急上昇

店員さんはポケットからおもむろに認証キーを取り出し、コンソールにかざす。液晶が点灯。ちょっと待って、心の準備が・・・と思っているうちに「はい、どうぞー」。フットボードに足を乗せたあと、簡単なレクチュアを受けて、キュルキュルキュル、うわ動いたー!

最初の一瞬だけおっかなびっくりだけど、すぐにコツは呑み込めて、これはかなり敷居の低い乗り物ね、って感じ。方向転換は左手のグリップで。最小回転半径はほとんどゼロに近く、静止していれば回転方向の車輪を軸に回る。速度は、そうだな、電動キックスクーターよりちょっと遅いくらいだけど、店員さんの話ではリミッターをかけているそうで、通常ではもっとスピードが出せるとか。しかし乗り味は当然ながら他のどんな乗り物にも似てなくて、お父さんかーなりメートルアップ。

しかししばらくするとよほど目立つのか、深夜にもかかわらず「乗せて乗せてー」と人だかりができてしまい、自由に乗れない感じに。ゴメン俺のじゃないから「えーケチー」。ムービーでは動けなーい、と叫んでおります。しかしあとで思い返すと、この時点、乗り始めてから1分経たないうちで、もう人を避けたり後退したり、乗車しつつ地団駄踏んだりが自然にできてしまっているのに驚く。


ちなみにコンソール部はこんな。カタログどおり

時間外に無理くりお願いしてしまったこともあって、ひとしきり乗ったところで名残惜しいけど交替。替わったシイナが183cmあるせいもあるけど、確かに横から人が乗っているのを見ると、町中ではかなり異質な存在感を放ってしまっている。操作性云々や性能自体より、ここらへんの違和感をどう馴らせていけるのかが新しい社会デバイスの難しいところだと思った。


同行者ぺっくん(満面の笑み)

それにしても、操作について一切の特別な意識を必要としなかったハードルの低さはすごい。左手のステアリングにしても、切れ角は、とかあんま意識せずとも視線方向に自然と動いていく感じ。そこらへんのユーザビリティというかチューンの精度が凡百のガジェットたちとは一線を画していて、ああ本気で交通システムに乗り込んでく気で作られたものなんだー、って感じさせてくれた。プラスティックの成型もマス・プロダクツの質感だったよ。

このセグウェイ試乗、なんでもこのゲーセンの経営者だか社員だかが酔狂で買ってきたものを、本人飽きちゃったのかモトを取ってやろうと思ったのか知らないけど、店の客寄せパンダにしている模様。大森は5日まで、6日からは秋葉原の系列店に移るんだって。大森っ子と違ってアキバ・クルーのみんなには大人気になるだろうから、いまのうちに行った方がいいかも。あと深夜に俺から着信があったみなさんゴメンナサイ。これの自慢したかっただけです。そんじゃ。