朝イチで教習。ミキワメ、とか呼ばれている、要するにおさらいみたいなもんだ。担当の教官は、待合室の世間話でとかくデブとかウザイとか(笑)若い子たちの槍玉に上がっていた方なので心配していたのだが、教習自体は非常に理路整然としており、細部に至るアドバイスも的確で、これまででもっとも有用な時間となった。確かに彼は太めのいじめられっ子ヅラで(北尾を思い浮かべて欲しい)やや口をとんがらせてスネたようにしゃべるので、つまりあれだ、あの子たちにしてみりゃ同じ言われたとことで、理屈っぽくてねちねちウルサイ、ウゼエ、ということになってしまうのだから、えーと、結論はなんだろう、デブは損だ?(笑) 左側の車体感覚にやや不安が残るのと、幅寄せをミラーに頼りすぎる点を指摘されつつ、ハンコ。次は仮免交付がかかった修了検定とかいうやつだ。

ところがこの修了検定申し込みで、事務方と揉めた。検定料6200円、仮免許試験手数料2050円、申請書代20円、免許交付手数料1200円、消費税310円で合計9780円を納めろ、というのだが、俺は自動二輪を持っていて筆記試験は受けないため、このうち仮免試験手数料というのは不要ではないか、と聞いたのだ。ところが「みなさん納めています」「そういうものですから」といった何も言っていないのと同じようなことばかり繰り返され、まあ到底納得できやしないのだが、それが答えになっていないことすら説明してもわかってもらえなそうで、ウンザリした気分で事務所を出る。この埒のあかなさ、ディスコミュニケっぷりは何事だろう。なぜそれが必要なのか聞きたいだけなのに。ほんとウンザリ。たっぷりイヤマナを貯め込んで事務所を出たあと、近くにいた教官を捕まえて聞いてみると、えーそれ払わなくていいんじゃねえの? という返事。あら。

サーフィン、パソコン教室の後、ミサキ嬢から届いた荷物(TNX!)を引き上げに事務所に寄ったとき、あらためて事務方に質問し、さっき教官に聞いたらやっぱ要らないんじゃないかって言ってましたけど? と付け加えるも、返ってくる文言はえんえん一緒。もう言葉を割くだけ虚しいので諦めて引き上げた。ははは、なんつうか、あれだ、自民圧勝(笑)。まあそこまではまだよかったんだけど(いやよかねえけど)、宿舎に戻ったら部屋のインターフォンが鳴ってね、出たらさっきの事務方で、何かと思ったら言うに事欠いて、「さっきおたくに余計なこと言った教官の名を教えろ」ときたもんだ。あの、なんでそんなこと答えなくちゃならないんですか?「いえ、こちらとしても職員の見解の統一を図らなくちゃならないので」じゃあ全職員に対して説明なさったらどうですか。その教官が間違っていたかどうかは知りませんけど、こちらとしては善意から助言してくれた人が不利益を蒙るような、告げ口みたいなことできるわけないでしょう。ガチャリ。

もうね、ほんと、タメイキ。宿舎の人も食事の人も同窓の生徒さんも、教官たちもみんないい人ばっかりなのに(20日の磯村だって2度目にはもう慣れちゃっていい人に思えた)、ここの事務方ばかりは、そりゃ暮らしの中で付き合えば悪い人たちじゃないんだろうが、サービスとしては救いようなくストレスフルだ。あと2週間もあるので、今後はなるたけ接触を控えて暮らしたい。さっさと気分を変えてウェットスーツに。痛みはいくぶん引いてきたし、波も小さくなったので入れそう。でもおかげでふたたび厚くて斜度の緩い波に戻ってしまった。なかなか板が滑り出してくれず、これじゃサーファー宣言も取り下げかな、と思うが、ひとたび滑り出せばちゃんと横に走れるのでひと安心。スキルアップとコツ習得の不可逆性について思い知る。でも一昨日の、大きいくせにメロウでジェントルな波を知ってしまうと今日のトロ波じゃ物足りなくて、目や舌が肥えることと満足度の逓減、についても考えてしまう。<52回目>千倉、ほぼ無風、ヒザモモ、タプタプ、昼1.5+夕1.5時間。

海岸への行き帰り、といっても1分と掛からないのだが、その通り道にある一軒の庭が、毎日眺めていても見飽きないほどめっぽう素晴らしい。幾度となくデジカメに納めているのだが、一度としてその印象を片鱗すら写せたためしがなく、こればかりはどうやって伝えたものだか、実に悩ましい。広すぎるでもなく、狭くもなく、密でもなく疎でもなく、まったく手入れがされていないようにも見えるがその実なかなか意図が浸透しており、野放図なようで審美眼を感じさせ、統一感がないようでいてあらゆる角度から収まりがいい。家屋や門構えも粗末なようでいてある種の品があり、門に残った表札の痕が大きいのでもともと何かの施設だったのかとも思うのだが、いつ通っても人気はまったく感じられず、かといってうち捨てられた風でもない。あんな庭をこさえた主人のことを思う。着物ならイメージすぎるけど、意外と農作業風の出で立ちかもしれない。仕事は? 趣味は? いずれにせよ、近所では随一の見識を感じさせる庭である。写真を2枚ばかり載せておくが、先に断ったようにそれでこの庭の1割も感じたことにはなるまい。



断られてしまってザンネン、の無線LAN計画だったが、ひょんなことから近所でIEEE802.11bの電波が出ていることが判明した。パソコン教室に行ったらまだ生徒さんがいたので外で待ってたとき、AirMacの設定を外そうとラップトップをのぞき込んだら、どこからともなく電波を感知していたのだ。ネットワーク名を見ると、なんとスーパーのオドヤさん。ほほう。もちろんポートは開いてないのでネットには接続できないのだが、一条の光明が差したような差さないような。オドヤの社員とお近づきになって、便宜を図ってもらうことはできないだろうか。いやでも商売上のデータとか入ってそうだから不安がって開けてくれないかな。無理か。夕食には鰹の握りが出た。ワーイ! 自分のぶん9カンに加え、Tさんが残した3カンまで食べてしまう。いい鰹だった。去年は下北の飲み屋で初鰹とじゅんさいを食べたんだっけな。懐かしい。そのとき一緒に行った女の子はもういなくなってしまった。悲しい。


そんなこと思い出していたら携帯が鳴り、出ると母で、父の持病である狭心症の具合が思わしくなく、昨日から入院しているとのこと。来週には心臓外科で定評がある病院に転院し、手術を受けるという。母は自分ではしっかりしているつもりでいるのだがその内面は16、7のお嬢ちゃんなので、手術といっても何の手術をするのかもよく把握できていないし、手術の日程について聞いても要領を得ない。しかし声の調子ばかりが妙に確かに力強くなっていて、要するにひさしぶりに降りかかってきたトラブルに張り切ってしまっているのだろう。あの人は、お母さん仕方なくやってるのよ、と言って世話を焼いてるときがいちばん精神状態が良い(笑)。心配しなくて良い、とは言われたものの、一度帰ろうと思う。うわあ、イヤな時期にブラックジャックによろしく放映するなあ。母があれの心臓外科の回を見なければいい、と思う。みのにだって感化されちゃうような人なのだから。いま鹿屋の基地にいるであろう兄に、たいした内容もないメールを打つ。あの人の方が地理的に遠い。