5時半に起床、海チェック。オンショアは止んだがサイズはしょぼしょぼ。二度寝。10時に再起床、昨日撮った写真を処理してからパソ教室へ。きょうはメルマガを1本出さなきゃならないので少し時間を食ったな。戻って昼食、サヨリによく似ているがあの一角獣的な口吻はない姿形の、あれなんだったんだろう、カマスじゃないしサンマでもないし、サンマの亜種だろうか、ちょっと謎な青物の焼き魚。一夜干し。素晴らしい。すぐにウェットに着替えて海へ出ると・・・♪イェ〜イ、ビーッグ・ウェンズデイ〜(めちゃホリの節で。殴って良いです)すごいよいきなり頭サイズ! びっくり! 海はサイズアップした波が砂を巻き上げて、いつもの緑に茶渋色が混じっている。千倉のビーチはいちばん右に漁港の堤防があって、そのすぐ脇にリーフ(岩礁)が顔を覗かせるデンジャーゾーン。でもそこがいちばん波は高くて、左に行くにしたがってサイズが徐々に下がってくる仕組み。ちょうど真ん中にはほとんど水量のない河口がある。

リーフ寄りのベストポジションはローカルの中でもエキスパートな子たちが陣取っているので、邪魔にならないよう河口の正面あたりに入る。それでもアンタ、たいへんよ、ここへ来てからいちばんのビッグサイズだ。セットのうち、いちばん大きい波はダンパーになってしまうので、その前後の手頃なのを狙う。とりゃー。滑り出す、スタンドアップ、すぐにレギュラーにターン、ギュゥゥゥゥゥン! スープが追いついてきたので切り返し、でも角度が甘くて次第に失速。って、あれ? あれ? どうしちゃったの俺、これじゃサーフィンみたいじゃん。つうか姉さん大変です。サーフィンになってたと思います。つい先週まで何もできなかったのに。これまで人に紹介されたりするとき、頑なにサーファーと呼ばれるのを拒んできたんですが、それはつまりサーフィンになっちゃいないのにサーファーと呼ばれるのが気恥ずかしかったからなんですが、もういいです、呼んで。ボトムターンが決まったと俺が思ったから、4月23日はサーファー記念日。マニフェスト

その後もダンパーなのに叩きつけられたりしつつ、数本うまいこと乗ることができた。一度巻かれたとき、ノーズが肘の内側に刺さってうわー腕壊したか、と思ったのだが、素晴らしい、土曜日に装着したノーズガードのおかげで事なきを得た。ナイスチョイスでした! みんなも他人のため自分のためにゴムキャップは付けよう(苦笑)。腕が上がりかけ、教習の時間が迫ってきたところでタイムアップ。ささ、シャワー浴びたらドライビン。車庫入れのおさらいと縦列駐車。2時限続けてさっくりハンコ。今日はデジカメを持ち込んでみたよ。あと教官の手帳になっちのプロマイドを発見して意気投合(特大苦笑)。つうか教習の間も波が気になって、さっさと終わらせたいやら疲れを取りたいやら、ずっとじりじりした気持ちのままだった。終わるやいなや、走って宿舎へ戻って、再び海へ。かなり疲労を残しつつも完全にアドレナリン・フィーバーに突入していて、もう回らないはずの腕も回ってしまう。


右手からヒョォォー! という嬌声が聞こえてきて振り向くと、リーフ脇では地元の子が、チューブに今まさに入らんとしているところだ。しかしハワイのように身の丈のチューブが巻くわけもなし、しゃがんで突っ込んだところで潰れてしまい、ボードが空中に舞い上がる。それでも肉眼でチューブトライを見るなんて初めての体験で、興奮のあまりこちらまでフォウ! と声を上げてしまった。俺はといえば、やはり数本、気持ちよくボトムターン、斜面を感じながら横へ横へと走っていくことができた。テイクオフが安定した1月頃から、えんえん課題となっていた「横へ走る」はとうとう手中に収めた感じ。というか、横へ走らずに乗ることができなくなったし、どうして横へ走れなかったのか、まったく思い出せない。現金なもんだ。

そうして横を向いていると、これまでともっとも異なるのは、まったく違った視座が獲得されることだろう。視界の右半分はそそり立つ波の壁。斜面を滑り降りながら、目の前で、目の高さで波が巻き上がっていき、そして今にも崩れんとしている。白い波頭がこちらに迫り寄ってきて、飛沫が髪の毛を掠め、いよいよ盛り上がった水のカタマリは自らの重さを支えきれずに崩れ始める。あとは逃げろや逃げろだ。真っ白な泡沫が足首を掴もうと次から次へと湧き上がっては追いかけてきて、それに捕まって失速する頃には、もう足が立つほどの浅瀬だ。いままで背後で繰り広げられていた波のスペクタキュラが、横を向くだけですべて、視界の中で始まりから終わりまでを捉えきることができる。みんなこれを見てたんだなあ。凄い。暗くなってどこまでが波でどこまでが水平線かわからなくなるまで入っていた。上がったときアウトにはまだ15人くらい残っていて、俺は夜目が利かないのかとやや心配になる。<50回目>千倉、南西サイドオフ、肩〜アタマ、ややマッシー、昼1.5+夕1.5時間。

夕食はエビフライ。いやだから無理に豪勢にしなくていいですってば。案の定、これだけ毎日サーフィンしているのに、こっちに来てから増量しはじめている。再三書いている宿舎のフル・ファットな食事が9割方の原因なのだが、あとの1割はといえば、それはマックスコーヒーのせいだろう。この千葉・茨城でのみ発売されているご当地コーヒーは、近年コカコーラ・ボトリングによって買収されたものの、史上最悪のグローバル企業も地域に根ざした圧倒的な支持は無視できず、なんとジョージアのリージョナル・ブランドとして存続させられているのだ。こっちの人はほんとこのマックスコーヒーが好きで、道端に設置されたゴミ箱を見る限り、そのブランドバリューは想像を絶するものがある。そんで俺も、エバミルクとカラメルの風味が前面に押し出された、いわゆる誤解された和製缶コーヒーの理想型といえる味にノックアウトされちゃってて、毎日飲んでいるってわけ。腹回りちょっとやべえ。