うへー。衣装は北村道子、コレオは珍しいキノコ舞踊団。アレンジ・演奏はリトルクリーチャーズ。イケイケですなあETV。

あと10日でやらなければならないことが多すぎる。晩はユトで赤佐ひかりさんのオープニング。iBookのAVケーブルがないとのことなのでヨドバシに寄っていく(渋谷の量販店も10時までやればいいのに)。赤佐さんの顔と名前が一致しておらず、以前ちらとお話したことのある小声ガールにアこんちわー、と言った直後、彼女が今日の作家であると岡部さんに紹介され、びっくり。展示の趣向で会場内に50個ほど風船が撒かれていたのだが、これが球体執着の強烈なジャリの興奮を大いに掻き立て、完全に狩猟モードに突入していたので、後ろ髪をひかれながら作家の朗読だけ聞き届けたところで30分もいないうちにおいとまする。

帰宅するつもりだったのだが古今の前を通ると、意地汚さにかけては猛禽類並みのマイ視界の端に、ワインのラベルに書かれたロマネ、という文字列がふゅっと飛び込んできて急ブレーキ。これは茶山氏による振る舞い酒に違いあるまい、とは踏んだものの、まさかねえ。と思って入ってみると、しかしてDRCのロマネ・サンヴィヴァンだった。なんてミーハーな! 正気か? ビンテージは98年だったのだが、不思議にどうにも10年クラスに感じられてしまう。熟成早めなのかな。テンションノートが入り組んだブーケは俺の解像度の限界に近く、正直イイ、イイ、とか言ってるうちに飲み終わってしまった。でもいままで味覚・嗅覚処理に使ってなかった部分の脳に光が差す感じは受け取ったから、ほんの少しだけ拡張されたんじゃないかな。

電話が入って、客がほぼ帰ったそうなのでユトに戻る。もうみんな酔いどれで半ばヤケクソな雰囲気が漂いだしており、片づけで風船を割らなければならないというので、いっそのことジャリを放しちゃう。50余個の獲物を前にしたこの小さな狩猟者は見事なすばやさで任務にあたり、狂ったように駆け抜けながら的確に風船に歯を立てていく。俺も江口くんもゲラゲラ笑いながら、端っこに溜まった赤と白の風船を蹴飛ばしては舞い上げ、気づくと午前3時のオプとか掛かってるもんだから(酷い。選曲までヤケクソだ)、途中からキックしてるんだか踊ってるんだかわかんなくなってきて、おまけにバンバン破裂音は鳴りやまないわ視界は舞う風船でいっぱいだわみんな大声で歌ってるわで、やばい方向に気持ちよくなってしまう。清順夢二の紙風船シーン的、色と音響、スピードの氾濫。狂喜は意図せぬところに降って湧く。