■
目覚めると10時。天気予報は春の兆し。最高気温16度だって。もう立春も過ぎて雨水ちかく、陽はどんどん長くなってきているし、まさか寒さも峠を越えたなんてことはないと思うけど、第三京浜を下る車内では暑すぎて半袖になったくらいだ。しかも昨日通過した低気圧のおかげで波は大きい。辻堂は国道に満車待ちの列ができるほどの人手となっていた。この人手には浜辺には陽光を楽しむカップルや家族連れも含まれていて、オフシーズンにはサーファーしかいない千葉との違いを思い知らされる。駐車場は有料だけど舗装されてるし、浜辺はビーチクリーンのおかげで空き缶ひとつない。空は抜けて青いし、国道沿いにはパームツリー。気持ちいい。ただ、なんかね、やりきれない気分になったりもするよ。端的に言えば、俺は加山雄三ってどうにも好きになれないんだ。輸入文化と昭和、という話。これが鎌倉〜葉山になるとまたちょっと違うんだけれども、それはさておき。
もう着替えているときから昨日の疲れが残っていて、あまりにも体力不足を思い知らされた一日になった。グローブを外して入ったせいもあって、パドリングがもう30分もしないうちにめためたになってきて、ドルフィンもさんざん。パドル時に足を開かない、とかドルフィンでの蹴り込みとか、意識してきた基礎の基礎がぜんぶばらばらになっちゃった。そんで悲しんでる暇もなく、容赦なくオーバーヘッドのセットがやってきて、ひさしぶりにメタクソに波に巻かれたよ。結局最初の2本しかアウトへ出られなかった。サイドの流れも強くて、ヒーコラ巻かれてるうちにたった1時間でもうギブアップ。あとは休んではインサイドで小さくテイクオフ、また腕が上がらなくなって砂に寝ころび、の繰り返し。コテンパン。情けない。ちょうど10月くらいに逆戻りした状態で、ここ数ヶ月何やってたんだろう、これじゃ1年でアップスンなんて夢のまた夢だ、とクラクラしてきた頭で思う。テイクオフ時にレールを掴むくせだけは少し是正できた。<27回目>辻堂西、弱オン、頭、1時間+こまぎれ1時間。
帰りは大渋滞に巻き込まれて、ああ、暖かくなったら毎回こんなか、憂鬱だなあ、と思う。だいたい夏になったらジャリは預けなくちゃならないし(いまは車中だが、夏ならパチンコ屋のドキュベイビーよろしく茹だってしまう)、波取りは熾烈になるし、海水浴場でポイントは減るし、駐車料金は倍になるし、なんかいいことひとつもない気がする。ああ、可愛いボディボードの子が増えるだろうけど、ほら俺さ、チビ、オヤジ、ヘタクソ、で浜のヒエラルキーの最底辺じゃん。だから一切関係ないわ。そんであんまり渋滞が酷いので、1号線沿いにある健康ランドに寄って空くまでやりすごすことにした。これについてはぜひとも詳細にルポしたいんだけど時間がないので、以下、大久保くんとのメセンからコピッペして済ませます。
学生のとき一度、当時の彼女が温泉旅行だっつうんでぜんぶ任せて付いてったらスパランドみたいな場所で、話が違うって大喧嘩、というの以来足を踏み入れてなかったんだけど。いや基本的にはすごく好意的に考えたいんだよ、俺は。ムームー着せるじゃん、テイストレスな。あれすごいよ、あらゆるスノビズムを駆逐する。モードとか貧富とか可視的属性一切が無化される。そして恐るべき平等の下で、肉体的美醜があらためて問われるわけ(笑)。背格好とツラの他にも、所作とか歩き方とかかーなーりー剥き出しにされるよ。なんかね、それはそれでリラクシン・アウシュビッツ(笑)って感じで、悪くないっていうかたまになら行きたいくらいなんだけど。
とにかくね、何が凄いって、リラックスとかヒーリングがテーマらしいんだけど、そんで「携帯は持ち歩くな」とか「禁煙ゾーン」とかうるさいくせに、館内至るところに、ロビーからマッサージブースからサウナから仮眠室にまでテレビがあるの! すごいんだよ、あのね、全日空のほら、ビジネスシートみたいなのあるじゃない。液晶テレビ付きでチルトできるの。あれが12×6列ぐらいでブバーって並んでたり。仮眠室見つけてようやくテレビから逃げられた! と思ったら、無音の12面マルチモニタが壁にドカーンって。(大久保:イメージの中では殆どクローネンバーグの世界になってるんですけど)。光景としてはまったく正解で、俺はあれで映画撮れる(笑)。マジですごい。ラウンジには中央の柱に、全周8台くらい。サウナは狭い高温室と広い中温室があって、俺サウナ好きだけどあんま強くないから中温にいたかったんだけど、この広いほうにはテレビがあるんで高温のほうで悶えてたり。
まあ俺はひさしぶりに畳を踏めたのと、湯船に浸かれたのと、いっぱい裸、というかチンコ見れたのと、あとこれは別に健康ランドじゃなくていいんだけどキャーって思ったのが、女の子3人で来ていて、2人は割と可愛くてアラーとか見てたら、地味な子が「ねえ喉乾いたー。あと灰皿ー」とかパシリにされてて、館内ではすべてカギに付いた4桁の番号かバーコードで精算され、帰りにまとめて払う方式なんだけど、「アンタの番号で買っといてね」「はいウーロン茶」「えー? あたしポカリっつったじゃん」「え、ウーロン茶3つって・・・」「ポカリ」「・・・替えてくるね」というのを見ちゃったので元取った、って気にはなれた。でもさー、湯船も畳もテレビもふつう家にあるじゃん。なのに家族連れでこれがけっこう繁盛してんのよ。わけわかんなくなっちゃって。プチ旅情、ってほどロケーション良くないし、なんだろう、やっぱり精神の内奥にある共産主義が発動してる、とか?
すっかりふやけて帰ったところで、ひと寝入りして映画3本。きのうもらってきた29インチフラットは、鮮やかくっきりしすぎてて、うれしいんだけど目が疲れちゃう。あと字幕の文字がインタレースされずにジャギっと映ってびっくり、とかテレビ見てるとウワこの女優さんこんなに皺っぽかったっけ? とか。基本的にあらゆるコンテンツは装置の条件下にいるわけで、テレビがまだ小さかった時代はヘアメイクさんもおっとりしてられたんだろうな。こないだ80年代のビデオを見返したときは、字幕スーパーのフォントサイズがいまと比べて異様に大きかったのにリョウタさんが驚いてた。これも画面が小さくてぼんやりしてたせいだよね。けっきょく半日ちくちく触った結果、明度も彩度もシャープネスも低音も、標準より大幅に落としてマイルドなセッティングに落ち着くこととなった。14型から始まって21、25、そして29と来たもらい物テレビわらしべ伝。再来年あたりはプラズマだな。
先日具合が悪くなったのは、もう3ヶ月くらいハロモニ見てないせいです。ご心配おかけしてすいませんでした。なんかごっちん笑わすコーナーができたんだって? 誰かファイル〜〜。