ジャリの吠え声で起床。ああ、タバタがいる。ウェットウェット。魔法がかったほど道が空いていて、1時間ちょっとで作田に着いてしまう。車中ではモータリゼーションとマナー細分化に関する話を。「上品ドライバー」みたいな。着くと快晴。何か、アフリカか南米のかなり南極寄りの海岸みたいな風景だ。でもサイズが・・・まったく景色は違うのに、波の状態は冗談みたいに昨日の湘南と似ている。太平洋上の天気図と波質の関連性をまたひとパターン知った感じ。そして、何とも苦々しいラウンドが始まった。

連チャンのせいで腕が重いのだが、それでも寄せ崩れる波をかいくぐって、すんなりアウトに出られた。ところがこれが大した罠で、浜からは波頭でまったく見えなかったのだが沖目には10人くらい入っていて、みんなこちらに向かってパドリングしてくる。何だー? キシケンさんとその友達を見つけてあいさつしようと近寄ると、開口一番、「カレント(潮の流れのこと。この場合岸から沖に向かうからリップカレントか)すごい強いから! あんま離れないで」。なるほどすんなり沖に出られたわけだ。パドリングに疲れてちょっとボケっと波待ちしてただけで、どんどん沖に、そしてテトラ寄りに流されていく。頭の中に浮かぶのは、海上保安庁のヘリ、行き交う漁船、浜狩りする地元漁協のみなさん、あと新聞の地方版に小さく出る「技量をわきまえぬ初心者サーファー漂流」みたいな見出し。うっわー。

波の状態は昨日とほんとにそっくり。いくらか鵠沼よりダンパーじゃなかったけど。サイズは頭くらいもあるのに割れづらくて、乗れそうなのはクソでかいセットのみ。で、これが乗りにくい。斜度はトロいのに速くて追いつけないのだ。そしていざ滑り降りようかとすると、ドシャーンと崩れて水中抱え込み3回転、という。いざうまいこといって走り出したら、ボードがバッタバタ暴れて立つどころかしがみついているだけでも精一杯。しかも、さっき話したように沖への流れが強いので、入っている間じゅう、えんえんパドリングしつづけてるわけだ。腕の力もあやしくなってくる。ちょっとビビり心が顔を出してしまって、テイクオフを試みる回数も激減して、なんだかうまいこと行かない雰囲気がありありと漂ってきましたよ。そんなときに、事件は起きた。

あ、タバタうまいこと拾ったなあ、と見ていたら、崩れる波の向こうに立ち上がったタバタの上半身が顔を覗かせ、おお立ったよ、と思ったら、遠ざかるスープの中で、あの野郎、あの野郎、振り返ってさ、ニカっと歯剥いてピースしやがった! しかも両手で! もうアッタマ来た! キーーー!! ほんとはらわた煮えくりかえった。確かにあいつはファンボードっつうズルな板に乗っている。にしても、これまで進度はほんとにトントンだったわけ。あとでインサイドで乗ったらやっぱり同じぐらいだったし。でも、大きな波に対する心持ちでは一歩差を付けられた感じ。チクショ俺だって! 行くぜ! ザバーン→洗濯機。もうトホホですよ。「滑り降りることより板が刺さらないことを念頭に置いて、胸を反らせながらテイクオフすればダンパーでもパーリングしないよ」なんてありがたーいアドバイスまでいただきました。ニャロー! ぜってー抜く! ピースし返す! あと軽くて浮く板買う!<24回目>作田、強オフ、肩〜頭、トロ速い、2時間半。

帰りは東関道からの大渋滞。2時間半。帰宅して石本推薦のバロン。うーんあまりエンジョイできず。タバタからグローブを車中に忘れた旨電話があって、届けついでにいっしょに飲みに出る。ツタヤで返却して、みなさんのメモを持って14本。3回目にして3階のフロアの女の子に顔を覚えられてしまう。キオスク型のタイトル&保管場所検索システムを作ってほしいよほんと。あとツタヤの会員証が各店舗別だということを知って驚く。いくらフランチャイズとはいえ、それはないんじゃないのCCC。一杯飲んで帰宅。アゲハ行かない? という誘いの電話が入るが断ってフレンチ・カンカン。圧倒的。ショウに入ってからはキラキラ感で涙腺ゆるみっぱなし。「足りている」とはなんて素晴らしいことなんだろう。CGは、レンズは、特殊メイクは、SFXは、フィルターは、クレーンは、引用は、名称わかんないけど編集の技法は、使わなくて(使って)いいのかな。という不安が一切ない。すべてを詰め込めた時代にすべてを詰め込んだ十全感。かつて映画は小さく、だからこそとてつもなく大きかったようだ。続いてヒッチの「めまい」。感想はあとで書くけど、とにかく断言しよう、掲示板作って正解。あれは幸せにする、俺を。