いやー、もう。目に入るものすべてがおかしすぎて笑い死ぬ。黙っていても笑っているし、声を出しても笑い声しか出ない。愉快以外の感情が欠落してしまっている。おかしくて愉快。悲しくて愉快。つらくて愉快。焦ってて愉快。かわいくて愉快。しみったれてて愉快。恋して愉快。うんざりして愉快。ほんとに狂ってしまったんじゃなかろうか。と思った不安ですら愉快。リョウタさんには、それ、脳で痛み止め出っぱなしになってるからほっとくとどっか壊す、と言われたが、遅い。沈静の一瞬が訪れたとき、一切の筋肉痛を感じていないのに気づいて、瞬間ヒザが抜けそうになるのだよ。買い物していて計算が合わないのだよ。3日同じ服を着てても平気なのだよ。何をしゃべってるかわからないまま延々オート・トーカーと化してるんだよ。これがただの師走の狂騒のせいであってほしい。ああ、泣き出しそうだ。笑いが止んない。

起き抜けに散乱したビンやカンを片づけて、ハーゲンダッツで朝食を摂る。ここ1週間、何か問題があるとすれば、ひとりで食べる食事すべてがアイスクリームであることだろう。太るとか栄養不足が問題なのではない。心の中のおとぎの国が比較優位を失って悲鳴を上げているのだ。なんてこった。こないだシイナにビデオデッキをもらったので、散歩ついでに近所のレンタルビデオ屋に5年目にして初めて足を踏み入れてみたが、まったく食指が動かないまま一周して出てきた。部屋で映画のパッケージソフトを観る、しかも所有はできない。という行為の礼儀作法がまったくイメージできないのだ。レンタルビデオは難しい。84年くらいの若者は、どんなマナーを編み出してカウチポテトの時代に備えたのだろう。あの店を自宅の冷蔵庫とでも思えばいいのだろうか。

晩にリョウタさん来宅。小腹が空いたので中華料理を求めて外出。帰宅すると潤くんとTFJがいて、しばし男臭く小宴会。モモ、ダニエル、あべ++、浜名と揃ってきて、岡村ちゃんの古いクリップ集を見て泣きそうになったり、TFJにいただいたフロマージュがおいしかったり、モモに花をいただいて水切りしてみたり、浜名にオードトワレをいただいたらすごく使い慣れた銘柄だったので浮かれて撒き散らしたりしてみた。美輪先生は一晩に半ビンもの香水を振りかけられるとか。いい時間になったところでアベハマTFJは帰宅、残りはリキッドのデートコースへ。

パーティの空間は、あらゆる種類の思惑が交錯しまくっていてグタグタだ。ライブについてはあんまり語るべき言葉もない。普段の10倍くらいの香水で前後不覚のまま始まって終わった。麻酔と手術。眼球の手術をしたときのことを思い出していた。そう医術。世界の。帰り、どうしょもない破戒的な気持ちになって牛丼屋に寄ってみたら、隣席の下っ端ホストくん(28歳同い年なのに・泣)が携帯に向けて「コロスぞラァ!」「知ってんだろ女、青森から出てきた」「いまオメェどこだ、戸田? 行き方教えろ」「んでテメェ誰だ」「おめぇに被害加える気はねぇっつってんだろ?」などと延々怒鳴り散らしており、加えていいのは危害、であるにせよ、その内容はすべて愛の、血の、天使の、ドブの、大地の、粘膜の、そして淳と亮すなわち国内屈指のモラリスト・タッグの言葉であった。絶え間なく啓示が降りてきて笑い死ぬかと思った。歌舞伎町は大きな聖堂だ。あらゆる場所がそうであるように。