いよいよ本格的に寒さが肩に染みるようになってきました。札幌ではもう雪模様。身体につられて心もこわばるこの季節、みなさんセンチメントにどっぷりですか? 僕はそうでもありません。腕立てと化学繊維のおかげです。ナイロン、フリース、ダウンジャケット。今年は重衣料を何着買えるのでしょう。貧富の差が顕著になりがちな季節に跳び蹴り食らわしたい気分で上着を引き出しからハンガーに移している唐木です。何、今年はムートンなの? プロパーでなんて買えねえよ、冬!

昨日たまたまニュージャックスウィングの話をしたところに、91年の音楽シーンに関する原稿を抱えているリョウタさんからリファレンスプリーズの電話。アシッドジャズ、グラウンドビート、そしてレアグルーヴにまつわる昔話をつらつらと垂れ流してみました。話してたらSoulcietyレーベルとか買い直したくなってきたわ。そういやもう1年くらい前だけど、テツオが渋谷系について回顧したのがきっかけで、瀧ちゃんや潤くん筆頭に、音楽にまつわる自分史みたいのをまとめるのが流行したことがあったね。僕は気恥ずかしくてそれに乗れなかったんだけど、きょう電話のあと、僕も小一時間ちょこっと振り返ってみて、少しだけ書いてみようかな、と思ったけど止めた(笑)。あまりにも長く、そして醜くなりそうでやっぱ怖い。

それより、きょう思い出した重要なエピソードをひとつだけ書いておこう。僕が高1から大学1年までバイトしていた喫茶店の息子さん、っていうのが黒人音楽のちょっとしたマニアで、中2でブーツィーにノックアウトされちゃって以来グルーヴミュージックに傾倒していた僕は、ファンクやソウルのもう少し突っ込んだ音源をほとんど彼から借りて聞いたんだけれど、その人が言ったんだよ。「もしお前が、10年後も今みたいな情熱を持って音楽を聞いたり演奏したりしたいのなら、いいか、簡単だからひとつだけ守れ。ロッキンオンから出てる出版物は一切読むな」って(笑)。で、ほら子供の頃って世間狭いから身近な先達の言うことすごい信じ込んじゃったりするじゃん。僕はその言いつけを完璧に守った。だから、僕は音楽ジャーナリズムの一大派閥についての知見がほんとうにまったく欠落している。たぶん感謝していいんだと思う。

今日はいくつかの仕事の調整(確認の電話、とか仕込みとか)をしただけで、割とのんびり過ごした。夜半にジャリの散歩に出かけ、ことねさんと長電話。すごい失礼なことをいっぱい言っちゃった気がするけどまあドンマイドンマイ。クリスマスにまつわる煽りは、地球最後の日に誰と過ごしますか? という問いとまったく成分がいっしょだ、という話が面白かった。番ってない奴は不具者だ、とでも言いたげな社会的オブセッションと、それが呼び起こす巨大な消費。今年もそろそろマライアさん。話してる間に勢いづいちゃって、うちから駒場東大〜神泉〜松濤〜代々木公園〜ふりだし、とちょっとした距離歩いちゃったよ。深夜徘徊はアディクトしやすいから気を付けないと。