カゼ引いたー。昨日からちょっと熱っぽかったんだけど、深夜になるにつれ熱が上がっていくさまが自分でもほどよく追尾できて、もちろんそういうときは基本的にハイですから、来客のみなさまに対してベラベラしゃべくりまくっちゃったりするわけです。みんなに移ってなけりゃいいんだけど。今日の来客は4件。Mさんが3時半頃いらして、お茶も早々に代々木公園へ。富ヶ谷交差点の歩道橋から振り返った西の空は、もうすでに冬の装い。ジャリを存分に走らせて、ドーベルマンのガタイの良さにちょっとおののいたりしたあと、オ・タン・ジャディスでガレット。もうこの頃には外気がコートの感触を思い起こさせるくらいに沈み込んでいて、しかも犬連れだからテラス席に回されて、むう、これは今晩やばいことになるなあ、と強く予感。このあたりですでに腹下り始めてたし(笑)。

ガレットは、いつ来てもエクセレント。個人的に思い出深いピンクペッパーと、個人的に多用しては料理の味を画一化させがちなパプリカ、2種類のスパイスがそば粉の香ばしさと山羊のチーズの濃厚さにヒュッと飛び込んできて、なんか鮮烈なノイズのイメージを想起させてくれる。ここで言うノイズというのは雑味なんだけどぜんぜん邪魔な感じじゃなくて、なんつうのかな、ザザッと音像に飛び込んでくることで楽音そのものをみずみずしく再認識させてくれるような、引き立て役というにはあまりに軽業師っぽすぎる存在だ。うーん熱で何書いてるんだかわかんなくなってきたけど、なんか、うちさ、オーディオがたまにトラックの違法電波拾っちゃって、瞬間的に野太い声がスピーカーから流れることがあるんだけど、ボケーッと聞き流してたミックスCDにそいつがフュッと飛び込んできて、はっとした瞬間に何でもないローズの音がめちゃくちゃ美しく響きだしたことがあって、そのとき思い返してみると、美しかったのは、ローズよりむしろ野太い運転手の声のほうだったと思うのね。そんな感じ。えーと何の話だっけ? あ、ガレット。美味しかったよ。

ほんとはせっかくのオ・タンなんだからグロッグを頼みたかったんだけど、熱っぽいせいで酔いがへんな風に回って失礼を働きそう、という懸念からアップルタイザーでがまん。でも身体冷えた(笑)。ジャリは店中の人気者で、ホールとキッチンの女の子たちが変わりばんこにやってきてはあやして帰っていく。食事で血糖値が上がって、なんかさらに熱っぽさエスカレート。Mさんもちょっと冷えたようで(あそこいつも毛布出してくれるんだけど、今日は彼女らジャリに夢中だったようだ)、ジャリをアンカ代わりに抱えながら、半地下で切り抜かれた寒空を横切るヘリを見上げる。その後彼女の家のワンコのリードを買ったり、ドンキで生活用品を買い込んだりして(ドンキソング歌ってたら思いくそ引かれた・苦笑)、どこかで一杯飲んで身体を暖めたかったんだけど運悪くどこも一杯だったり開店前で、潔く渋谷駅でバイナラ。さて、ここから気を入れないと続かないのが今日という日の恐ろしさ。

帰宅してソファに横になっていると(もう起きあがれない感じにまでなってたりして・笑)、オーストラリアから帰国したてのリョウタさんから電話。たわいもない話をしているうちに、いわゆるデンパな陰謀史観を信じ込みたくなるほど恐ろしい、僕個人と世界との符合を発見してしまい(友達には会ったときに話すよ。めちゃくちゃな符丁だ)、ふたりで笑い転げる。マスタープランは存在すると僕らは一瞬信じざるを得なかった。電話を切って眠りに落ちる前にはMCのKさんが来宅、打ち合わせ1時間、その後お説教20分(笑)。Kさんが帰宅しようと立ち上がった時に、ちょうど某新聞の記者さんが到着されて、休む間もなく撮影、そして取材。またもや恥ずかしい露出となりそうだが、ちょっと義理があって回避できなかった。

熱に浮かされ余計なことまでしゃべりまくりの取材中に、MEのTさんが来宅。謝りまくって20分ほどジャリと遊んで待っていてもらい、記者さん退場と同時にTさんとの打ち合わせスタート。ここらでかなり怪しくなってくる。打ち合わせは1時間足らずで終了したが、その後与太話に花が咲いてしまい(なにせ熱で饒舌極まりなくなっている)、1時半頃にTさんご帰宅。ふはあ。気を抜くと膝が抜けてしまいそうだが、なぜか眠気が訪れてくれなくて、毛布を被りながらだらしなくこの文章を打っている。昨日の仕事なんて、まるで3年前のことのように感じる。でも5月くらいの出来事は先週のことのように思えてくる。時間はなんてフレキシブル。

財布を無くして以来、カードケースだけで何とか凌いできたのだが(見つかって帰ってくるのではないか、という期待が財布を買い直させなかった。僕はものすごく頻繁に物を落としたり無くしたりして警察やカード会社のごやっかいになるのだけれど、驚くべきことに、落とし物が出てこなかったのはこれが初めてなのだ。落とした財布が出てこない、なんて、当然のことのようで僕にとってはそこはかとなくショッキング)、みっともない以上に不便でしかたないのでさすがに買い直すことにした。高校生のときからホワイトハウスコックス一本槍だった(そして常に誰かからの頂きものだった)のだが、ちょっと銘柄を変えてみよう(そして一度くらいは自分で買ってみよう)かと思っている。候補最右翼はエンリ・ベグリン。ちょっと可愛すぎるかもしれないけど。しばらく前にナディッフのそばに路面店ができたはずだから明日あたり行ってみようもうダメ寝る。