ああそうだ、MUSIX!で娘。新曲を見たんだった(余談だけど地獄のように見どころが少ない番組だね、あれ。ハロモニ作ってるテレ東とは思えない)。ステージでの娘。たちのパフォーマンスは素晴らしく、僕は3回目のリピートプレイまで、とめどなく涙を流し続けた。跳躍、屈伸、そしてスナップ。輝かしい筋肉の働き。曲の最初から最後まで、決まり続けるモーションのダンクシュート。それも、12人ぶん。

それでも、僕は新曲を支持しない。はっきり書けば、唾棄すべきものだとすら思っている。それは曲の善し悪しじゃなく(まあ善し悪しでも酷い、というかヤケクソみたいなもんだと思うけど)、個人的な好き嫌いに基づいた判断に過ぎないのだけれど。もう僕の嫌いゾーンにぴったり合致してるんだ、あのサウンドは。なんだよこの期に及んで衣装チェッカーズスカパンクって。あれじゃバンドブーム、つうか有頂天じゃんか。退行だよ退行!

そう、なにせ僕は、ああいうスクエアでオンなビートを聞いて退行だとか素でわめきちらしちゃうくらいに、ものすごく古臭くて依怙地なシェイク・グルーヴ・ヒエラルキー主義者だからね。ダンス☆マン河野伸、それに鈴木俊介がいなければ、僕は娘。をこんなにまでは好きにならなかっただろう。そんでもって世の中は、ああ悲しむべきかな、スクエアなビートがかなり大きな規模で復権しつつあって、その意味でつんくの嗅覚はものすごく正しい。ファック!

あと付け加えるとするなら、時間がなかったのか習熟度が下がっているのか、フォーメーションダンスの構築レベルが低下していて、それを補うべく個々人のランダムなモーションを押し出したことが、転じておおらかなパフォーマンスをもたらしていた。これは度重なる新メンの加入によってハモりのスキルが低下し、それを補うべく声ネタが添加されバラエティ性が増したラブマ期の事情と似ていると思う。そりゃ一瞬でもフリーでリズムに乗る加護の挙動とか見たら泣くよね。でもこの路線を進めた先にはケイオティックな状況しか待っていないだろうから、やっぱりちゃんと作り込んだダンスを見たいですー。

それにしても恐ろしいのはフランスだ。いま地球上で、最も熱い娘。サイトを提供しているのはフランス人だと思う。あいつらおかしいよ。僕がMUSIX!での新曲映像をダウンロードしたのは、MXでもhotlineでもなく、瀧坂に教えてもらったフランス人の掲示板に書き込まれていたアップローダーからだ。それも、放映があったその晩に。DJマリーの本番映像も、なっちのFACTORYライブも、そんなタイミングでフランス人のサイトから落とした。もちろんMPEGエンコードしたのは日本人だと思うし、それを彼らがMXで拾ってアップロードしただけなんだろうけど、それにしてもキャッチアップ早すぎ。それにあっちのサイトじゃ著作権に関するヤバ意識が希薄だから何でも揃う。奴ら日本のヲタみたく出し惜しみとか一切しないし。

しかしよりによってこんな東洋の国の、海外進出もしていないアイドルグループ事情にご当地のファンである僕なんかより通暁していることには、やっぱりそら恐ろしささえ感じる。掲示板でフランス語で交わされているダベりの内容、各メンバーのキャラ把握とかチャームポイント発掘、グループ内でのヒエラルキーとかダンスフォーメーションのポジションにまつわる考察とか、いずれも正確かつハイレベルすぎ。一例を挙げれば、日本のモーヲタには、メンバー個人ではなく「ナチマリ」とか「ヨシゴマ」「イチゴマ」といった特定のペアリングに対して愛着を注ぎ込む一派が存在する(もちろんツジカゴもそうだが、ツジカゴが双子性をベースにしているのに対しペア萌えはやおい的志向が強い)のだけれど、そんな動きにも楽勝でフォローしていたり。

まあねえ、デリダラカンの国の人だから、コンテクストとエクリチュールの芸能である現在のハロプロに吸い寄せられちゃうのは不思議じゃないといえばそうなんだけど。それにあれか、ドルトムントガレージバンド追っかけてる日本人とかいくらでもいるんだから、そんな驚くべきことじゃないか。あとさっき不用意に地上で一番、とか書いちゃったけど、コートジボアールとかトリニダード・トバゴとかに最強に盛り上がったシーンが立ち現れていたりする可能性もなきにしもあらずだから、もしそんなことになってたとしたらそれは僕の世間知らずってことで許して。なんか娘。カバーオンリーのスティール・パン・オーケストラとかいくつもあったりしたら笑うんだけど。えーと悪寒は引いたけどまだ熱っぽい。あと下痢。一日ベッドで養生。さすがにヤバいので夕方から起き出して少し仕事。寝る前に今日誰ともひとことも口きいてないことに気づき、うわーっと思ってちらっと外出。酒は控えて早々に帰宅。