クーラーなんていらねえよ、夏。の副作用か、冷房に異様に弱くなっている。クーラーのよく効いた空間にいると、気づかないうちに冬のことを考えているのだ。冬のイメージに囚われて封じ込められそうになる。おかげで部屋に帰ってきても半日くらいはふとした瞬間に冬の光景ばかり思い浮かべてはタメイキをつき、冬粒子に侵されたような状態だ。僕の中でマスターピースとなっている冬の図像のキングは、国立駅の三角屋根のてっぺんからロータリーの東西書店方向を見下ろしている夜景で、もちろんそんなところに登ったことはあるはずない。ただ木枯らしと人恋しさと焦げ茶のウールのコートが密接に、ああ、もうやめよう。

クリスマスの九十九里浜を失踪するパジェロとオフシーズンの海の家、外苑東通りを青山1丁目の交差点からクランク状に曲がったところの1階が店舗になっている古いマンション、いかんいかんもうやめれって。どうしてこうもうらさびしい、心細い景色が好きかね。半日も経つと毛穴から侵入した東南アジアがふたたび身体を乗っ取り、柄の悪い(ダブルミーニング)アロハシャツを羽織って散歩に出かけるのだが。夏の盛りにクーラーのない部屋で木枯らしの暮れ時を思う。それは帰ってこられなくなるほど甘美だけど、えーと、身体に悪い(笑)。

最近、部屋にいてMP3をかけっぱなしにすることが増えていたので、思うところあって音を止めた。扇風機も止めてしまった。山手通りも明け方近くには静かなもんだ。周囲のみんなが全員レコメンドな山田宏一の「友よ映画よ」を開いてみたら、うるうるしているうちに寝付くまでに半分読み進んでしまった。モノローグはもとより、事実の羅列にさえ読む者の気持ちをリ・フレッシュしてくれるようなみずみずしさに満ちあふれている。巻末のコニタン解説はとりあえず読まずにおいておいて(笑)久しぶりにわくわくしながらページをめくっている。ミルハウザーの新作もあるので、部屋のライトをソファ読書仕様に配置換えしてみた。

あとクラッシュ関連。もろもろの環境は整ったものの、FEP(ほんとはなんていうんでしたっけ、IME?)だけはいかんともしがたく、夜半にあべくんがレスキューに来てくれた。インストールをしつつ、ローカルでftpを立ててファイル交換。あ、あべくん、マシュー×なっちのサイズ小さい方のファイル、あれいただいたのとは別物らしいので捨てないどいてください。