2001/6/16(再録)
(略)さて、次は渡る世間(最近ワタオニって略すんだって!)をやってみよう。ただいま大家(正確にはそのヨメ)と戦闘中。ああいう女キライなんだよマジで。事情をかいつまむと、俺がこの家に越してきたときはまだ大家のお母さまがご存命だったんだけど、名義上の大家である3代目の息子は眼鏡かけて見るからに気の弱いおっとりした坊ちゃん面で、なにやっても上手く行かない、また実際洋酒の輸入かなんかに手出してコケたりしてるタイプだったから、実質大家的なつとめはすべて大奥さま(住民内勝手な呼称)が果たしていたのね。ちなみに彼の役立たずっぷりは嫌いじゃないしむしろ長所だと思う。商売には向かないけど。

ともかくこの大奥さま、俺すごい好きで尊敬していて、うちのリフォームの件も即オーケーしてくれたし、たとえば郵便ポストなんて必要なものだけ取ってピンクチラシやDMは残しておけば勝手に捨ててくれたりとか、換気しようとドアを開けたままコンビニ行って帰ってきたら靴がきれいに並んでいたとか、下の階の簡さんが停めたチャリが邪魔だってんで車輪ロックしたまま道向こうの簡さんの店まで運んで慌てさせたりとか、バイク便の荷物まで勝手にサインして預かってくれたし、その他もろもろのエピソード全部好き。

去年の夏、クモ膜下でころっと死んじゃったんだけど。俺、命日のあとに大奥さまに会ってるんだ。朝っぱら帰ってきたらほうき持ってパジャマ姿でドアの前掃いてんの。あいさつした。あいさつしちゃったんだからこれはもう仕方ない。さておき彼女が亡くなってすぐ、ヒゲも剃らずに抜け殻状態と化した息子のとこに通ってきてたのがいまのヨメ(内縁の)。すぐにちょうど空き部屋だったウチの真下でいっしょに暮らすようになって、大奥さまのやっていた事実上の大家の座に取って代わっちゃった。気づいたら1階の住居を改装して不動産屋まで始めて、人聞き悪めに言ってみりゃまんまと乗っ取られちゃったかっこうだ。

大奥さまのときは3カ月貯めて半年分払ったりしてた家賃も、この女、毎月PHSまで催促してくる。いきなり共有部分を塗り替えはじめて、麻利子さんが「すてきな階段ね」って褒めてくれた上海かサイゴンの留学生向け学生寮みたいな古びた手すりも、大塚家具的白痴的ツートンカラーに塗り替えられてしまった。趣のあった団地ライクな郵便ポストも、へんてこなダイヤル錠のついたアルミのポストに。移ろうかと考えていた2階の空き部屋のリフォームに至っては、せっかくのタイルの上に世界中でもっとも忌むべき床材、フローリング柄のクッションフロアなんて貼ったりして。心から唾棄すべき、お安すぎる高級感志向。最低。死ね。挙げ句の果てに1階のすりガラスなんかステンドグラス柄のシールで覆ったよ(考えようによっちゃこれはアリだ(笑))。

入り口の押し引き自在だった扉に至っては、一方向にしか開かないようロックつけやがって、外から戻ったら引いて開けなきゃなんない。酔っぱらって帰るたびに「ガコン」ってやって不愉快なことこのうえない。しかも「押す」「引く」「禁解放」なんてバカ丸だしのプレートまで付けちゃって! なんなんだそりゃ! そもそもなんでロックつけたのか、その発想の源泉がわかんない。消防法か? どっち開きか白黒付けないと気持ち悪いエノキダ的性格だったのか? 住人の所作までコントロールしたいのか? 風水か? コパか? コパがそう言ったのか?! で、やっぱり名義上の大家は「良い人と書いてオット」状態で完全に言いなりのままだ。

ようやく与件を説明したところで本題に入ると、いまちょっとしたお願い(追記:ジャリのことだ)を大家にしていて、名義上の大家であるところのオットに話したらオーケーだってんでコトを進めていたんだ。ところが後日、ヨメに俺のお願いを受けたと報告したら奴は気に食わなかったらしく逆上したそうで、後日、ポストに「申し訳ないけどこないだの嘘。やっぱりNG」と手紙(ここらへんが彼らしい)が入っていた。ヨメ〜〜〜〜! 共有部分のカラーリングについては黙ってたけどな、この上まだ俺の気を逆撫でするか! つうかもう後戻りできないとこまで話進んでるんだよ! ってことで戦うことに決めました。バトルの結果は、また後日。

後日譚:
散歩のついでに寄ってみたら「押す」「引く」に加えて「関係者以外立ち入り禁止」「ただいま外出しております」とか張り紙が増えていた。張り紙をする人っていうのは、程度の差こそあれ基本的にみんなキチガイだと思う。