けっきょく君は

朝っぱらに電話。DのMさんから。何事? と聞いたら、表参道でCM撮りの最中なんだけど、カフェを朝のあいだしか押さえられなくて客が誰もいないから来てー、だって。お世話になってるし、コンテ終わったら行きますよ。

コンテ終了。今回苦労したー! マンガなんて描いたことないよ! ほんとこの仕事に就いて後悔したことといえば、子供の頃もっと落書きしておけばよかった、ってこと。漱石をハタ坊に、ノンブルには走り幅跳びを、壁新聞には担任の暴かれた性生活を劇画タッチで描くような子供だったらどれだけいま楽だろう。

むかしモモチーとお茶してるとき、彼女がノートに落書きを始めたことがあった。湧き水のようにさらさらとよどみないその描きっぷりを眺めながら、恨んだね、自分を。へたくそでもいいからなんで描かなかったんだ、小学生時分の俺! いや、いまからでも遅くはない。描こう! お手本は・・・やっぱrelax boy?(号泣) Mさんに電話したら、もう撮影終わるって。スンマセン。

やっと寝られるーと思いきや、また電話。15時から打ち合わせのN社Hさん。いま三島だけど、新幹線が強風で止まっていて運転再開のめどが立ってないから打ち合わせ延期してほしいとのこと。はい了解。ぐう。

この日記に割と頻出する編集Kさんに電話。開口一番、「もしもし。ジャイアンです」読んでらしたのね。2chほか雑談多めのご相談。切った瞬間に30の取材依頼リストを忘れてたのを思い出す。BのOさんからメール。朝のコンテ、大筋オーケー。イラストレーターさんに渡すので僕の写真を送れとのこと。なんに使うのかって? マンガの登場人物になるんですよ。なんともはや!

宮益坂、中村書店。ちくま文学全集/花田清輝、詩人のナプキン/堀口大学、浮谷東次郎2冊。なぜかぜんぶちくまになってしまった。ここのおばさんはいい人なんだけど、会話ベタなのにコミュニケーションを取りたがる悪い癖があって、人が買った本に対してぼそぼそっとコメントを述べる。誰に言うともなく、でもそのコメントに気づいてほしげに。こちらはそれをすくいあげてやらなければならないのでなかなか気をつかうのが難儀なところだ。

ABC本店、しばらく行かない間に大幅なフロア改装。ぜんぜん棚がわからなくなっててびっくり。これは一度ちゃんと時間を取って行かないと。店員に「ネフのおもちゃ」という本はありますか、と聞くと、すんなり出てきて頼りがいあるとこを見せてくれた。石ノ森章太郎せんせいの「マンガの書き方」をちらりと見る。

Bに送る写真を撮影してもらうため、表参道で椎名の事務所に寄る。こんだけデジカメ記事を書いてるのにデジカメ持ってないんです。でっち上げなんです、すべて。あいつ割とちゃっちゃかシャッター切るんだけど、あとで見たらぜんぶがぜんぶひどいブオトコに写っていて、あんにゃろ写真ヘタクソだなーとか思ってたら自分がブオトコなだけでした。スンマセン。いや、マジで人生考え直させるくらいひどかった。自己イメージの座標軸、かなり修正を迫られたよ。

その後、言うのもかなりはばかられるんだけど、柴田と菊池と待ち合わせ、こともあろうに占いへ。占い! 26年生きてきてまだ残ってましたよフロンティア! 遊歩道沿いの民家の軒先に着くと、微妙にブス面な女子8人くらいがパイプ椅子に座って待ってる。さすがにいたたまれなくなってジュース買いに行ったりしているうちに順番が。

えーと、結論からいうとヒドイね、占いって。どれもあんなもんなのかな。それとも行ったのが500円なんていう激安(らしい)だから安かろう悪かろうなのかな。どうヒドイかっていうと、えーととにかくヒドイ。じゃなくて占ってない。そもそも占ってねえよあんなの! 人の話チラと聞いて、あとは人工知能と一緒でパタン別に橋田寿賀子的処世術をオートマティックに返してるだけじゃねえか。ノータリンのドキチガイが。

占いの診断自体は別に書かないけど、とにかくコンサバというか家父長制とかムラ社会とかそんなもんは根強く日本人の心に残ってるんだなあ、と確認した。闘うべき相手は多いとも思った。帰宅してネフの本ながめて、気づいたら寝てた。最近寝られてます! グーよ、グー。