芸大和声は並行進行のところで見事につまづきました。これ自習だけでいけんのかな。とりあえず今週のテストアウトはどう考えても無理だ。チャンスは1度しか使えないので、今回は降りることにしよう。

なんでクラシック和声に手を付けてるのかと言いますと、前にもちょっと書いたけど、卒業に必要な必修単位にクラシックの科目が出てくるのだった。このあたりジャズ中心のはずが謎な音大っぽさがあって、具体的にはトーナルハーモニー1・2(いわゆる古典和声)、コンダクティング1・2(指揮法)そしてカウンターポイント1(対位法)がコアミュージックの単位に含まれている。作曲系の専攻はさらにあと数単位あったような気がする。

ぶっちゃけハーモニー(日本で言うバークリーメソッド)やイヤトレ、アレンジングみたいに実践で役立つ感覚が乏しいので、ジャズ・ポピュラー方面の学生にしてみりゃモチベーションは総じて低い。逆に実践で用いるクラシック系の生徒は、こんくらいはすでに終えちゃってる子が多いので、やっぱりモチベーションが低い。というわけでほとんどの学生がこのあたりのクラシック系単位をなんとかやりすごしたいと考えている。

やり過ごす方法は、ひとつには自習してテストアウト、あとFを取らない程度に適当に履修、とかいろいろあるだろうけど、最強なのは「卒業しない」だ。もう最初っから「おれ卒業しねーし」宣言してる子というのが一定数いて、彼らの履修はもう、やりたい放題というかデザートだけ食ってるバイキングというか、卒業の必修科目をこなしてる我々からすると、奔放にもほどがあるだろと言いたくなる感じすらある。毎学期行使できる13とか16単位の全部を、気になる授業、面白そうな授業に突っ込めるのだ。そんで気が済んだら去るだけ。

10年前くらいまでは、むしろそういう、卒業とかどうでもいいから面白い授業、自分にとって栄養になりそうな授業だけ狙い撃ちして、数年で気が済んでバイバイって生徒のほうがずっと多かったらしい。でも日本人というのはどうしても私も含め貧乏くさいもので、お金を払ったからには元を取りたいというか、対価として卒業証書をもらっておきたいという気持ちが拭えない人が多いし、あと学校全体としてもそういうタイプの人が年々増えているらしい。

ほんとうに元を取るというのは卒業とか関係なくサクセスしかないわけだが、そのあたりの手段と目的みたいな話はまたいずれ。いまのところはどっちがどうという話でもないけれど、「卒業度外視」派のプラグマティックな輝きみたいなのが、いまの自分にはちょっと眩しく見えるのであった。