朝もはよからヴィクターウッテンのリズムセクションクリニックがある。きのうのベースクリニックに集結したベース科のみんなして「明日も絶対参加な!」って言い合ってたのに、なぜかベースがおれしかいなくて、あとギターが7人とドラムだけ。なんだこれ。なんかおれだけ誘われてない飲み会でもあってみんな潰れてるのだろうか。とにかく2時間のクリニックじゅう、ずっとベースを弾き続けることになった。ウッテン先生はみんなに向けて話しつつも、所々でベースラインに、つまりおれだけに指導を入れ続けてくれることになって、なんというか、アホみたいに贅沢な時間を過ごしたのだった。

もらった指摘は、「バウンシーに弾きすぎる。まだ盛り上がってない飲み会で空回りしてるお調子者みたいになるぞ。基本はレガートで」「しゃべるように弾け。会話するときとまるっきり同じだ」「早口がすぎる。しゃべりすぎたら友達はうんざりしてるぞ」「間違った音程なんてない。でもアーティキュレーションダイナミクスは絶対間違えてはならない」「正解をやろうと思うから縮こまってしまう。エアギターだと思ってのびのびやりなさい」「もし他のプレイヤーとグルーヴが異なっているのに気付いたら、君が合わせてあげなさい。どちらが正しいか糾弾したければ楽屋ですればいい」などなど。ひー。

「もっとも売れっ子のミュージシャンを5人挙げてみて。ビヨンセジャスティンビーバー? テイラースイフト? OK、みんなに聞くけど、彼らのレパートリーでこれは難しくて弾けないな、って曲、1曲でもある?」全員ノー。「だろう。君たちはもう十二分に指が動く。そして人気の曲はあまりにたやすい。でも君たちは人気のミュージシャンじゃない。どうして?」「僕は練習するなって言ってるわけじゃないよ。練習は当然。でも努力のゴールを間違えてはいけないということ。大道芸人になりたいわけじゃないだろう?」これ、超絶技巧で売れっ子になったウッテンが言うから深みがあるし、モヤっともする。

お昼休みに、ベース科のチョビとボーカルのミレラのブラジルコンビが、1曲だけお披露目をするから来て、と触れ回っている。ところが行ってみたら、部屋はでかいし満員に埋まってるし、おまけに教授陣やウッテン先生まで見に来ていて、おおごとになってしまっている。チョビは荒削りなところもあるけれど、まるでさっきのウッテン先生の指摘そのままに(いなかったくせに)、子供がエアギターやるみたいにのびのび楽しそうに弾く。あと要所要所で気の利いたことをちょこっとだけやる。色男なんだよな。すごいジェラシーを感じた。みんなも拍手喝采

午後はアレンジング1の授業。クラスを変えてもらって、先生はSyncopationというグループで活躍している、日本人の阿部先生。物腰は優しいが、テキパキしていて、ホームワークもじゃんじゃん出て、評価きびしそうw。がんばらないと。というかこれで全クラス気が抜けなくなった。楽勝科目ゼロ。とにかくがんばるしかない。昨日寝たのが遅かったので授業後半に睡魔に襲われてくそやばいときにスライド上映となって照明が落とされ、陥落した。奥さんからちょっと用事を頼まれたので誰ともダベらずさっさと帰った。テーブルはまだ届かない。