秋のしとしと雨は、それはそれで好物だ。嗅覚が鋭敏になるし、肌寒い中傘を差して歩いていると、なにか少し心細く感じたりする。心細さはすぐにセンチメントを召還し、大気中に放出され始めた秋粒子を胸いっぱいに吸い込んで、ため息のひとつくらい吐いてみたくなる。心細さが、自分を生かしている。

孤独な中年には、孤独な中年にしか味わえない「よさ」がある。よさ、一瞬流行ったけど便利すぎたね…。