やんなきゃいけないこと、山積み。忙しくなってきた。会社は週末のレイアウト替えに向けてドタバタ。

僕はよく「スジがいい」「スジが悪い」と口癖のように言う。それは任侠道の方が「筋を通す」の筋とも、お稽古ごとの先生が「筋がいい」と言う筋とも違う僕ローカルのボキャブラリーで、だから当然、あんまり他人には意味が通じないから口にしても話す相手が生飲み込みになってしまうのだけれど、ここのところの会社の工事で、少なくとも会社の人には僕が何を言おうとしていたかはっきり理解してもらえたのではないだろうか。

ここのところ、会社ではリフォームの工事と漏水の工事とが並行して入っていた。リフォームのほうは建築家の清水勝広から紹介してもらった工務店さんで、プランニングから納品まで、ほんとにストレスなく良い仕事をしていただいた。打ち合わせは綿密、もろもろの連絡は的確かつていねいで、こちらのワガママもほとんど聞き入れてもらい、とにかくいつ何を何のためにするのか、すべてが逐次報告されていたので安心して任せられた。

日々立ち会いしているとわかるのだが、まともな工務店さんが連れてくる人たちは、みなまともだ。電工屋さん、クロス職人さん、フロア屋さん、電話屋さん、机運びの人まで、礼儀正しく、仕事がきっちりしていて、なにより、マナーがなっている。具体的には、養生と清掃と片付けがちゃんとしている。大工事をしたのに、散らかるどころか、作業後、作業前よりオフィスがきれいになっている。頼んでないところまで拭き上げて帰るのだ。

一方で漏水のほうは管理会社がやっているのだが、問題設定がめちゃくちゃだし、いつ何をやるのかも突然で、報告もなく場当たり的に床に壁に穴をあけて、見積もりもなく作業が進み、そして言うことは二転三転、挙げ句の果てに先週までやっていた工事の意味がなかったことが判明し、漏水はいまだ止まっていない。ちなみに入居時の契約により施工業者は選べない。はっきりと最悪の事態である。

そしてこの管理会社が連れてくる職人が、みな酷い。養生は適当というかそもそも言わなければしないので粉塵をオフィスにまき散らすし、作業中はヤクザみたいに怒鳴り合っていて、壁を壊せば補修も適当だし(リフォームの業者が気の毒がってパテ埋めしてくれた)、会社のバケツを貸せば泥だらけのまま返すし、材料を置き忘れたまま帰るし、粉まみれになったカーペットに掃除機も掛けずに帰る。腕の善し悪しについては触れるまでもない。ひとつ言えるのは、それでも物件を多数持っている管理会社にヘーコラしていれば、仕事が切れることはなさそうに見えることだ。

これが僕の言う「スジ」という言葉の意味である。大概の場合において、まともな人と関わっていればまともな人たちと出会えるし、やばい奴にはやばい奴らが芋づる式に着いている。だからやばいスジを見かけたら、なんとかして、コストを払ってでも、なるべく遠ざけなければいけない。それがトータルではコストすら浮かせるということを、社会に出てから僕は学んだ。なので当然のことながら、今回の工事で、大事な決断をした。

夕方から吉祥寺で病院、続いてクソ忙しいんだけどどうしても15分でも参加しておきたくて、首相官邸前の再稼働反対アクションに顔を出した。普段の倍以上の人がいたと思う。示し合わせたわけでもないのに何人もの知り合いに会った。Twitterにも書いたけど、震災と原発事故であきらかに世の中のモードが変わったと思うのは、端的にはこんな僕がボランティアやデモに参加するようになったことに表出していると思う。でももう、動かないわけにはいかないのだ。

けっきょく20時ちょい前で離脱、慌てて帰社して机の荷物をまとめたり。日にちが変わる頃、会社は何も乗っていない机と椅子を残して空っぽになり、「ああ会社を解散する日はこうなのだろうな」といった良くない感慨に包まれる。私物をたくさん持って帰らなければならないため、タクシーで帰ったのだが、運転手さんが言葉としての右左折、つまりウセツ、サセツという音をまったく聞き入れてくれず、よほど自分は滑舌が悪いのだなと落ち込んだ。