代官山へ、川上桃子ちゃんのライブを見に。バックバンドのドラムが以前お仕事ご一緒させていただいた牟田さんだというので不思議な気分。そんで結論から書くけど、子供だった(笑)。ステージが終わってほよほよと俺の目の前を横切って行ったんだけど、俺の胸ほども背丈のない中1の子供だった。そんでも歌い出すとシンガー。歌い終わってMCになると子供なのでずっこける。また歌い出すとシンガー。参ったな・・・。

お歌はすごいカッチリとした、ちょっとボーカルレッスンっぽいというか、養成所っぽさが抜けない感じ。抜けない、というか、いま養成所にいるようなもんだから当然か。いずれにしても少しくぐもった質感を持つ天性のボイスで、前も書いたけど、大知が出てきた時に抱いた感慨と似ている。

そんでこういう天才少年少女を見るといつも気の毒になるのだが、というかまず天才少年少女には2タイプあって、美空ひばりみたいな、初めっから大人びてすれっからしてるしお歌も天才、という、つまり大人のスキルと人格が子供の肉体に押し込まれてる、という印象を持つタイプの子供と、一方で、肉体も人格も子供だがスキルだけが突出して天才的、という、こちらのほうがギャップが大きいだけにより天才性が際立って映るんだけれど、まあ皿回し少女みたいのから芸能の世界なら黒猫のタンゴみたいな(笑)、ああいうタイプとがいて、川上桃子ちゃんはもちろん圧倒的な後者型なのであった。

そして気の毒というか不安要素の話だけれど、こういった天才少年少女のおおかたの行く末というのを、我々はもうすでに十分すぎるほど知っているのだ。多くは成功しないし、成功しても何らかの不幸に見舞われがちで、そういったサンプルは枚挙に暇がない。だからどうか、どうかこの歌い出したら圧倒的な娘さんが、成功しようがしまいがそれはもうどうでもいいから、幸せになれますようにと、あまりに巨大なお世話だが、そう思いながら帰路についたのだった。