えー、明けましておめでとうございます。不在の期間ぶんを埋め合わせようとすると荷が重すぎて身がこわばってしまうので、何事もなかったように直近の記述から始めたいと思います。

金土日と京都にいました。旧い友達にも会えたし、長年の憧れの店も片っぱしから訪れたし、ほんと楽しかったな。普段東京でもしないくらい強引に町歩きをし倒した感じ。御池、烏丸、四条、鴨川で囲まれたエリアについては、間違いなく藤沢より詳しくなった。足パンパン。訪れた場所についてはいちいち触れないけど、結論として、京都はあまりに平安京のままだ。景観云々とか新建材が云々とかじゃなくて、そういうことじゃなくて都市として、平安京のときにあまりに完成されていて、そしてほんとにそのまま21世紀を迎えてしまっている。川上と川下、右と左、太陽と月、聖と俗。

宿は石塀小路近くの木造旅館を、京都の友人に無理を言って取ってもらった。イエローのフロアで知り合ったとき彼女はショートヘアの高校生で僕もショートパンツの大学生だったのが、げに恐ろしきは時の流れかな、こちらはくたびれた三十路男、彼女は黒髪を伸ばした京女に変貌していて、しかも仕事は夜の蝶である。今回の宿も、どこのホテルも満室で困っていたところを、彼女の働くお店(写真を見せてもらったが、会員制のどえらいハイグレードなラウンジで腰を抜かしそうになった)の京都的政治力によって押さえてもらったのだった。ママさんに感謝しないとね。

3日間で口にしたものの中でチャンピオンは、京阪三条駅そばの肉のキヨタ、自家製和牛ビーフジャーキー200円、でした。普通のビーフジャーキーと一緒なのは名前だけで、まったく違う食べ物。敢えて言えば、ウルムチで食べた肉まんに入っていた角煮肉を、乾燥させて濃縮した感じ。八角を筆頭にスパイスが効いていて、熟成も深くて、噛むと馥郁たる肉の薫りが口の中いっぱいに広がる。なんて肉の取り扱いに長けているのかと驚かされた。土曜日に買ってあまりに気に入ってしまい、日曜にふたたび訪れて4パック買い占め。両日ともずっとポケットに入れてはつまみつつ歩いていたので、今回の京都旅行のムードを支配する味覚・嗅覚的通奏低音となった。

そんで月曜の朝に帰ってきて、丸一日はグロッキー。明けて火曜日、大型二輪の卒検。ひとり落ちたけど、最初から最後までずーっとペアで教習を受けたモッチーと俺は合格。あっという間に終わっちゃったなあ。卒業式で、SDカードの申請をめぐって最後に揉める。だってあたかも義務のように申請書書かせるんだもん。あれじゃ9割9分が書いちゃうぜ。頭きちゃった。安全運転協会だの交通安全協会だの、収支公開もしてねえ腐れ利権団体に個人情報もゼニも渡すかっつの。「これは義務ですか?」って聞いた途端、めんどくせえのが来ちゃったなあ、って教官の顔が歪む。上司に相談してきます、と事務室に走る教官。俺は式の進行を妨げてしまったので同席した3人に謝るはめに。まったくもう。

そんでようやく今日水曜、午後遅くまで惰眠をむさぼって、コンビニでおでんとモモ串買って、ジャリ連れて海岸へ。砂浜に腰を下ろして、たいして晴れてもないし波もない冴えない海を見ながらもぞもぞ食べる。これがいわゆる日常ってやつで、こいつを意外と自分は愛していることに気づく。失う直前になって、ようやく。