前夜11時に迎えが。到着後車中で寝る、というプランは初体験。案の定到着してみたものの眠れやしなくて(練炭自殺みたいで吹き出しちゃって寝るどころじゃなかった)、車中に3人残してタラオくんと夜明けまでデニる。いくつになってもダベり人生は続くよ。明けてからポイント探索。鵜原、そして守谷という未知のビーチを教えてもらうも、どちらも潮が上げすぎていてダメ。部原を越えて御宿まで上がって入ることに。サイズはいいけど見た目以上にトロ厚くて大苦戦。稲妻が走る悪天候ながら、陽が高くなるにつれ混雑も激しく、空いてるほう空いてるほうと移動していくとどんどん波も悪くなってきて、うーん欲求不満。これは鍛錬だと思うことにして、とにかく苦手だったレフトばかり乗るように心がける(スキーやスケートと違って、右に行くのと左に行くのでは難易度に大きな差がある)。すると1本、いままでにない感覚でトップに上って板を返せて、ガッツポーズ。でも1本だけ。

いったん着替えて、ふたたび鵜原、そして守谷をチェックしたのだけれど、このふたつのビーチ、めちゃくちゃ惚れた。どちらも左右を岬に囲まれたリアス式ちっくな入り江になっていて、狭いところに岩肌から木々、磯、砂浜、そして波までがパッケージングされた箱庭感がいい。普段入っているのがまーっ平らで抜けのいい浜辺だから、その変化に富んだ視界がなおさらのこと物珍しくてときめく。守谷ではタラオくんの友人でスキムボードをやっているN君と落ち合った。全国大会で2位穫ったという彼のライドは、俺がいままで見かけたのとはぜんぜんレベルが違って、これがほんとのスキムだったのかーって目が覚めるような凄いターン、いやあれターンつうのか? 筆記体のリットル記号みたいなすんごいのを楽勝決めて、もうほんと、正直スキムのこと舐めてましたゴメンなさいという気にさせられた。とりあえずこれでも見ると俺の衝撃がわかってもらえると思うよ。

そして移動した鴨川、河口ポイント。車中で寝ちゃって着いてもボンヤリしてたんだけど、波を見て帰ってきたソウくんの様子があからさまにおかしい。どうだった? って聞いても、なんか気乗りしないような、もごもごした返事。波ないのかな、って思って車外へ出ると、戻ってきたタラオくんが「やばいっすよ、でかいっすよ」なんだそういうことか。素晴らしいじゃないか。俄然元気になる。でかければでかいほど望ましいと思っちゃうタイプ。大鑑巨砲主義。つまりアホなので、にこにこ着替えて、いざ出陣。確かにこれはデカいわ、しかもインサイドが殺人的。沖のほうでいったんザバーンって白く崩れたあと、いったん泡がなくなってうねりが再形成され、こんどは岸近くでドグワシャーってナイアガラフォールするパタン。まずは波の合間を読んで、鬼パドルでアウトへ出る。比較的難なく出られたが、今度は斜めの離岸流が強くて笑いながら岸へパドル。もう今日は1本、とにかく1本乗れたらいいや、と心に決める。

そうこうしてるうちにミドルサイズのブレイクが目の前に。余裕のないままテイクオフしてみるも頭からどしゃーん。ひとしきり手ひどく巻かれて、ようやく落ち着いた。こないだの教訓を思い出して一見ヤバいセットに狙いを絞り、息を整えてそれがやってくるのを待つ。遠く沖に黒い筋が見え、近づくにつれ横の位置を修正してよく目を凝らしてみれば、手前の波の向こう側に、さらにデカい波頭がチラチラ顔を出している。ウラ波やっべーなー、と思いながら心中ではそいつを狙うことに決めて、鼻からフッフと息を吸う。タラオくんがチラッと見えて、あーもうやったれって覚悟を決め、助走を長く取るべくいつもより早めにパドル開始、ウラー、覗き込んだらここ何階だー、みたいな気分になるも(それはオーバー。2階がいいとこ)、いまやめたら酷い目に遭いそうなので掻きまくる。ボードのノーズがストンと落ちて、イエッヒィ〜、気づいたらすでに立っていて、うっわーフェイス広い〜、視界右にモリモリモリ〜って水の壁。

けっきょくその1本がきっかけになって、なんだかんだで10本以上乗れちゃった。走り出してからはあんまりターンとか考えられなくて、波のなすがままに乗り継いでおしまい、ってレベルだけど、また何かを更新できたと思う。あと波がレフトならためらわずレフトへ走れたのも気分よかった。ちなみに地獄のようなインサイドでは金髪ドレッドの白人がもんのすごいダンパーを乗りこなしては、しゃがみ込んでチューブインしていて、エクストリームスポーツとしてのサーフィン、を体現してる感じだったなあ。わざわざ乗りづらい切り立ったところを選ぶ、というメンタリティ。あと、上がる直前にタラオくんの板を借りたんだけど、上がってみたらノーズに亀裂が走っていて、なんつうかなあ、まず俺じゃないんだけどでも100パー俺じゃないと言い切れるわけもなくて、すげえ気まずさを感じた。クルマもそうだけどさ、あんま安易に貸せ貸せ言うもんじゃないなあ、と肝に銘じる。<155回目>御宿/河口、オフ、トロ厚い、肩(御宿)/頭〜頭半(河口)、2時間+3時間。