9時。目が覚めて、トイレに入ろうと思って、思い出した、そうだ、断水してたんだった。直ってるかな。洗面をひねるが、やはり出ない。都合10時間は長いな。とりあえず断水の範囲がうちだけなのかうちの階段だけなのか建物全体なのかここら一体なのか判然としないため、どう対処したものか。番号を見ようと取り出した水道局からの請求書を手で弄んでるうちに、本格的な尿意を催してしまったので、とりあえずコンビニへと走る。もちろんコンビニはなんともなく水が出ているので、どうやらうちの建物だけっぽいな。ついでに見に行った海は、思ってたよりは落ち着いてたけど、まだまだバイオレント。午後には入れそうだ。まあそんなことよりライフライン

自転車を停めていると上の人とすれ違ったので、「おはようございます。あの、、、水」「出てない!」「あー」「んあぁ」、という会話(というか、掛け合い。すごく再現しにくいのだけれど、合い言葉を掛け合うような感じでお互い畳み掛けてしまった。海!山!川!丘!みたいな)を交わす。でも、会話はそれだけで、誰かに連絡しましょうか、とか、うちの建物だけですかね、とかまで伸びなかったのが可笑しい。建物は正月みたいにやたら静かで、なんかみんながみんな「どうせ誰かが連絡して誰かが修理にきてそのうち治んだろ」って思ってそうでそれがちょっとだけ怖い。

部屋に戻ってコンビニで買ってきたパンなぞもそもそやってると、おや、トイレのタンクからちょぼちょぼ音が。これは復旧の兆しだと思って、思わずキッチンのカランに、浜辺の貝殻よろしく耳を当ててみる。空耳ではなく、遠くでコポコポいってるのが聞こえ、次いでコーーホというウォーズマンみたい乾いた声がクレッシェンド&ピッチベンド、じょ、じょぼー。出た。2ちゃんの人ならキターくるくるくるってAA描くところだ。はあ。まあ別に生命の危機とか感じるレベルじゃなかったけど、こんな体験はじめてで、ちょっとどきどきできてお得だったな。23号。しかし業者のクルマが停まってた形跡もないし、そもそもどこをどう直したら復旧したのだろう。謎なまま、食卓について、なんとなくぼんやり安心してみる。

耳を澄ましてると、ドアの音とか階段の音とかサッシ開ける音とか下水管の音とか床に何かが落ちるゴトという短い音や、遠い、会話の内容までは聞き取れない話し声やせきばらいとかがいっせいにしはじめ、キッチンに座ってただ聞いてただけだけど、なんか生き物が息を吹き返したみたいでほほえましかった(せきばらいは断水でもできるだろうに)。 ここは渋谷に較べりゃ格段に静かで、静けさに包まれてるといってもいいくらいだけど、それでも、いろんな音に囲まれて暮らしてるんだなって確認できた。そしてあの断水中のどこか不穏な空気は、その生活音が途絶えていたことと関わりがあるんだろうな。いずれにせよ、平穏がカンバックだ。

海には午後遅め、落ち着くのを待ってから。いやー、いい波だった。台風で流出した枯れ葉やら枝やらたまごパックやら浮遊物がいっぱいで、なんというか、ハーブティの中を泳いでるような感じだ。でもそんなのどうでもよくなっちゃうくらい、サイズもお手頃、掘れ具合も手頃、人少なめ、でいい気分。やっぱりピークをなかなか取れず、テイクオフしてスープに捕まるパタンが多い。うまくピークを取れても、トリミングっぽく走ってるうちはいいんだけど、ボトムターンのあと、トップで板を返せず後ろにコケるパターンが頻出し、頭を抱える。腰が引けてるのかな。でもまあ、そんな悩みが発生するくらい、過去最高に乗れた日となった。あーでも、9/7の忘れられないあの1本ほどではない。あの(自分的には)ミラクルな1本の感じが、毎回再現されるようになれば、また次元が一枚上がる気がしている。久しぶりに真っ暗になるまで粘った。<152回目>オフ、肩、ナイスショルダー後半ダンパー、2時間半。