なんかもう、くたくた。仕事をひとつ途中でほっぽらかして(リョウタさんごめんなさいごめんなさい)汐留に。菊地さんの出版記念トーク&ライブ。入り口で店員に整理券がないと入れません、と言われてぐだぐだ揉めて、結局入れてもらえたんだけど、店員が通した理由を推測するに、カヒミさんと挨拶していたから、というもので、もうとてつもなく情けない気分に。しかも俺こないだのインタビューでたぶん、彼女の機嫌を損ねてしまってたのを思い出して、さらにドヨーンとなる(意地汚いことを書いた俺が500%悪い)。それにしてもなんだなんだ、ドレス&パフュームド・アップなんて言ってたくせに、ジャケット着てるのもプンスカ臭いのも、周りで俺ぐらいじゃないか。ちっくしょう。裸足に革靴で踊ったのでくるぶしが擦れて痛い。

正直なところ俺は菊地さんをとても慕っているので彼がどんなことをしゃべろうが書こうが歌おうが割と知ったこっちゃなくて、ひさしぶりに菊地さんの顔を見て「なんだ、ゲンくん、意外と元気そうじゃないか」と言われたのでずいぶんと元気が出た。あと会場で池松さんをお見かけしたが、前に一度ご挨拶をしただけでどうせ覚えちゃいないだろう、ってのと、あと入り口での情けないやりとりを見られてしまったのでこっ恥ずかしくって声を掛けられなかった。ほんと、昔も俺、クラブのエントランスでゲストリストがどーだこーだで情けない思いをしたことがあったので、自分のイベントでは最大限ゲストを入れるようにしてきたんだけど。あれ、ほんとしみったれた気分になるよね。でもってそういう情けない思いをしないで済むハコにばかり行くようになって、夜遊びが狭くなっていったわけだが。

そんでえーとなんだ、終わって瀧ちゃんと彼女とスタバでお茶して、それからバスで六本木へ。SuperDeluxは、まあ割と予測はしていたんだけどけっこうその、えーと、小崎さんゴメン、お寒い感じで、もうおしまい間際に着いた癖にそんなことお構いなしにスタッフにわっはっはとかダッハッハとか景気のよさそうな声を掛けて回る。これも繰り返しになっちゃうけど、自分のイベントがツンドラになっちゃったときって、ほんっと逃げ出したくなるよね。もう一瞬一瞬、負けるもんか、負けるもんか、って唱えながら、なんとかその場に踏みとどまる感じ。だからせいぜい、陽気に振る舞わなきゃならないんだけど。なんかクソ外人が何人かいて、お構いなしに東洋人見下した発言繰り返してはしゃいでいたので、ブン殴ってやろうかと思ったけど負けるのでよしといた。代わりにそこらに置いてあったピアノの鍵盤を山下洋輔スタイルで10分ぐらいぶっ叩き続けてみた。死ね。

そんでみんな完全に意気消沈してるのではいはいテッシュー、とかくっちゃべりながら撤収手伝って、終わったところでとにかくいちばんがんばった優子ちゃんにホブソンズでアイス食わせてなんとか失神しないように血糖値を上げてもらって(笑)、ついでにくだらないフェティッシュの話を一席ぶって愉快なおじさんっぷりをアピールしたあと、店の前にバイクを置かせてもらいっぱなしだったNonの山崎くんから「お店閉めるので取りに来てくださーい。よいしょー。」という電話が入って、タクシーを拾い渋谷へ。わざわざ盗難を心配して電話をくれたのでそのまま帰るのも不義理が過ぎよう、と一杯飲んだところで調子づいてしまい、ひさしぶりにそのなんというか、2年前くらいの酒量が戻ってしまった。2時頃までそのまま呑んで、江口くんに電話をしたらまだユトで仕事しているというので飲みに誘い、カミネットの阿部が先月から移った目黒のクラスカを冷やかしに行こう、ということに。

遠いぜ学芸大学。そしてモダンだぜクラスカ。吹き出して笑っちゃうくらいに。阿部と再会を確かめ合うビッグハグをかまし、あとサインから移ってきたマユミさんおひさしぶりー。テキーラ。旧アンテナ、現オフィス目黒店長の相沢が店を閉めて合流し、そして目黒通りの坂をひとり自転車で追いかけてきた江口っつぁんもようやく到着。ビール。それにしてもこのホテルもラウンジも、笑っちゃうよ、ほんとに。プライウッドとステンレス、大理石、強化ガラス。これじゃまんま、プレイタイムだ。乱痴気パーティでもして、さっさとめちゃめちゃに壊してしまえばいい。と思ってたところに(秀和さんに殺されるな)、DJクンが大貫妙子の「都会」を掛け、あまりにあんまりなんでびっくりして思わず落涙だ。「値打ちもない華やかさに包まれ、夜明けまで付き合うと言うの?」。相沢が「カフェなんつって、笑っちまいますよ、ほんと」と舌打ちし、江口くんも「あちゃー」と苦笑いだ。いちばんドン臭い仕事してる俺ですら、酔いが腰にまで回ってしまった。

どうにも収まりがつかないのと、フードがとっくに終わっていたため小腹が空いたのとで、どっかにメシ食いに行こう、と言ってもここは街道沿い。5時に食わせてくれるメシ屋も見あたらず、そんじゃしゃあねえ、ロイホだっつの! と大鳥神社前のロイホを目指す。朝まで飲んでファミレス、って何だそれ、スチャダラか! とみんなやたら元気になってしまう。相沢がヤフオクで落札したというジャイロキャノピーのカスタム車は、なんかバットマン・モービルのトライク版みたいでけったいなバイクだ。ちょっと貸してよ、なんて乗らせてもらってるうちに到着。もー俺しっかり食うかんねー(うろ覚え)。そんで大ジョッキ飲みながら陽がみるみる高くなっていくうちに、電話が鳴る。なんだこんな時間に、と思って取るとアッコで、「ずっと電話したのに出ないじゃないですか〜。今日サーフィン行くんですか〜? 行かないですよね〜、何杯飲んだんですか〜。また電話しますからね〜」と完全に会話の体をなしてない間延びしたセリフだけ置いて通話は切られた。

そんで席に戻ってみると今度は相沢の電話が鳴って、仕事帰りに一杯引っかけた後の、ミコノスの丈太郎だった。これから来ると言って聞かない。あー酔っぱらいが来るぞー、と思って窓の外を見ていたら、いまにもよろめきそうな危なっかしさで左右都合6車線の目黒通りを横断してくるスクーターがいて、やっぱりそれが丈太郎だった。もうあとは4人ともグデグデ。迷惑そうな、でもそんなのにも慣れてしまった感じのウェイトレスの冷たい視線をよそに、けっきょく7時までうだうだと用のないことばかりしゃべってお開きとし、まだクルマの少ない山手通りを、いつもサーフィンに行くのとは逆方向に飛ばして帰った。通りに沿って開けた青空を見上げながら、どうしてほんのちょっと前まで、こんなことを毎晩のように続けてられたんだろう。と我ながら呆れる一方で不思議な気分になって苦笑した。あとはベッドに倒れ込んで、翌日も昼から仕事の連中には申し訳ないけど、日が沈むまで寝るだけだ。