終わりきらない仕事を放り出し、頸椎ヘルニアにてサーフィンお休みちゅうのタバタに車を借りて、いっしょに都内を流したあと451を降ろしてから、海へ向かう。途中戸塚のあたりでハルコを拾って。彼女を知っている人はみんなびっくりすると思うのだけれど、ボディーボードを始めた、連れてけというので僕もびっくりして思わず了承してしまった(まあそもそも、僕がサーフィン、というのも同じようなもんだが)。折からの台風でサイズはあるだろうが、どうせ波打ち際から出られないだろうから心配ないだろう。むしろ僕のように、中途半端にアウトに出られるくらいになった初心者のほうが流されてヘリのごやっかいになったりしそうだ。

台風となれば真っ先に考えるのは稲村だが、もちろんあんなエキスパートポイントに僕が入れるわけもなく、そうするとショアブレイクの比較的きつい辻堂を避けて鵠沼か、ということで駐車場のオープン待ち行列に並ぶ。6時オープンだが、5時半過ぎにはゲートを開けてくれた。しかし寒いのなんのって、冬みたい。オフショアに冷たい雨が混じって、きのうまで暑かったっていうのに、身体の芯からガタガタ震えがくる。そして海岸線に出ると、これが、あれー? 湘南マジック? モモくらいしかない。ガックシ。でもまあ初心者には都合いいか、と思って入る。心配なので一応ハルコの様子を見ていたのだが、2度目にしてはずいぶん筋が良い感じで、寒さにも文句ひとつ言わずニコニコしてるし、人は見かけによらないもんだなあ、と驚く。この分じゃほっといても大丈夫か、と僕はアウトへ。

そして1時間もしないうちに、海面は劇的な変化を見せ始める。ほんとうにセットごとにサイズがどんどん上がってきて、いかにも台風!という強力なスウェルに。僕の調子も上がってきて、新しいボードのおかげかテイクオフ競争で隣の子を出し抜いたり、波打ち際までえんえん乗り継いだり、確実なレベルアップの手応えを感じることができた。でも、それも2時間すぎまで。アップし続けるサイズは頭を超えて、セットで頭半近く。ビーチブレイクだからワイド気味の掘れ掘れで、僕のレベルでは横に走るのもきついし、そもそもテイクオフもできなくなってきた。アウトの人数は減り、エキスパートしか残ってない。久しぶりにぐるんぐるんに巻かれたのは楽しかったけど、乗れなきゃつまんないのでセットのセカンドブレイクに狙いを変えて、腕が上がるまで繰り返し練習。

それにしても、新しいボードはすごく良い。小波用だからほんとうは今日みたいな大きな日には向かないんだけど、とにかくちょっとの入力で横に走ってくれるのだ。こんな下手っぴのうちから道具に頼っていてどうする、と叱られそうだが、いいじゃないか。「インスピレーションが欲しけりゃ楽器屋を呼ぶんだ。新しいギターを1本買えば1曲できる。10本買えばアルバム1枚さ」と言ったのは、えーと、ジェフ・ベックだったっけ? まあいいや、とにかく急に自分がレベルアップした気になって、そしてこのいい気になっているうちに、ほんとうにレベルアップしてしまえばいいんだから。ヘバったところで切り上げ、ふたたび震えながら着替えて、エアコンの暖房を最強に入れる。<86回目>引地川河口、オフショア、胸〜頭オーバー、つながり気味、2時間半。

タバタにクルマを返して帰宅すると、ちょうどハロモニをやっていて、どんくらいだろう、半年以上ぶりに見ることができた。点けたときは交番コントで(これはバスが来るまで、の続編なの?)よしごまに姉さんと圭ちゃん、ということは現役はヨッスィだけでどこがモニなのか、というメンツが出ていて、オールドファンにとってはこれぞハロモニ!と快哉をあげたい往時のグルーヴを醸し出していた。バカな格好をしてヨッスィと絡んでいるときのごっちんは、ここ最近のオーラ失せっぷりも嘘のように輝きを取り戻していて、ほんとうにかわいかった。柔道のコーナーになるとなっちとののも出てきて、藤本なんて1秒くらいしか映らなくてずっとののがよっさんにつっこみいれてはしゃいでいて、なんかとうにバラバラになってしまった家族がひとときの団欒を囲んで自分たちはほんとはうまくいっていたんじゃないかと錯覚してしまうときのような、そんな気持ちになって見ていた。