■空が

今日の夕暮れの、東の空といったら! 君は!(03.8.26)


ナチュラル・メイク

DMR前の信号で、隣に古い125のジェンマが並んだ。ちょっと無骨で、ぽってりしていて、好きな年代のスクーター。乗ってるのは作りかけの盆栽みたいにひょろっとした男の人で、カリマーのリュックとエメラルドグリーンのトレッキングスニーカーが目に入るけど、あとはなんでもないニュートラルな出で立ちで、それがまたいいな、と思った。じっくりではないにせよそれくらいは見ていたのに、信号が変わって走り出し、ビデオセンターのあたりまで後ろに付いて、ようやく、彼がノーヘルなのに気が付いた。メットを首に掛けてるでもなく、完全なノーヘル。あらら、堂々としたもんだわ。ちょっと気持ちよさそうだけど。

近所なのかな、と思ってナンバーを見ると世田谷区で、そんなチェックをしてるうちにNHKの西門を過ぎたあたりで白バイとすれ違い、パオーンとサイレン鳴るかしら、と思ったらスルー。彼もまったく意に介さない様子だ。そのまま西参道を上ると深町の交差点が見えてきて、交番の前にはパトカー、車外に出て立っている警官がふたり。それでもブレーキなくジェンマは走り、赤信号で警官の真ん前に停車する。こっちは気が気じゃないのに、誰も彼を目に留めようともしない。たっぷり1分近く時差式の信号を消化して、またなんのことなく交通は動き始めた。僕はジェンマの彼が、自分がノーヘルであることを、知っているのかはたまたうっかり本人も忘れてるのか、それが知りたかったけど125ccの加速はなかなかのもので、左折した富ヶ谷の坂で置いていかれて見えなくなった。(03.8.26)