完調ではないものの、そろそろ社会生活のほうも限度がきていたので、復活とする。掃除、片づけ、軽く仕事。外出、用事4件。途中落とし物をして引き返し、目を皿にして路上を探し回った挙げ句、探している途中に交機にキップを切られる、という酷い事態もあったが、まあそれも外出すればこそのアクシデントで、楽しいものだ。そのあと代官山に顔を出してお茶を飲み、あと懸案だったポスターを額装に出し、ガラス屋に型板ガラスの発注をする(ベランダの右半分が鉄柵になっていて向かいのオフィスから丸見えなので、4枚あるサッシの右2枚の下半分だけ曇らせることにしたのだ)。帰宅するとヤマグチがすでに家にいて、451が到着したところでオザキさんから電話があって、要するにトリプルブッキングだったことに気づく(苦笑)。仕方ないのでオザキさんまで家に招いて3件ともいっぺんに会食してしまうことに。鶏とピーマンの炒め物を作る。上出来だ。あと焼きそら豆。オザキさんは来宅前に寄ったパーリーでソーマさんとおっしゃる女性をハント&同伴してきやがった。なんやかんやで終電までぺちゃくちゃおしゃべり。ああ今日はひさびさに動いた。

というところで日記は終わるはずだったのだが、さっき、早朝の4時、たいへんな出来事があって、はっきりゆって今日一日のできごとはすっ飛んでしまった。いま書いているのは5時過ぎで、まだ興奮が残っているし軽度の錯乱を催しているので支離滅裂かもしれないけど、俺は少し書きたい気分なのでつらつらと書くよ。ちょっとおかしいけど笑わないで。本気だから。

いいかみんな、よく聞け、俺はさっきな、神に会った。はははは。たいへんだぞ、いいか、あのな、2ちゃんとかで105は神、とかそういうんじゃなくて、ほんとの。なんで神だと思ったかというと、それが完全だったからだ。完全で、疵ひとつなく、調和がとれていて、美しかった。俺の記憶が正しければそれって神の、特性だ。そんでその人は、俺にたいへんなことを教えてくれた。まず、この世は、ほんとの世界だということ。現実とはこの世のことであり、これひとつであるということ。これが世界で、これ以外はないということだ。

いいかねナイーブなしょくん、たとえばグノーシス的な、この世は上っ面だけのにせものでほんとうのことはもっと奥深くの世界にある、みたいなことを考えているしょくん、あとそれこそマトリックス筆頭選手にSFさんが夢想しがちな、現実はひとつじゃない、これだけが現実じゃない、これはいまぼくの感覚器が知覚している現象であって、これは世界の姿そのものじゃない、みたいなことを信じたいしょくん、残念ながら君たちはみんなブー、だ。

いいか、奥深くの世界とかパラレルな現実は、たいてい真実とか美とかが具現化・顕在化されたワールドとして描かれがちだ(もしくはその真逆)。そしてそれらはこの薄汚れた現実にはない、とか言いたいんでしょう。俺もそういうのになびきそうになったことは多々ある。だが世界は、いまや完全に統合された。現実はこれひとつだ。なぜか。それは、俺は真実と美と完全と調和とを、現実に、さっきこの目で見たからだ。いつも行くコンビニで。はっはっは、ざまあみろ。だから俺にはもう、他の世界は要らない。他の現実を夢想する必要もない。この世界にはじゅうぶん普通に、真実と美と完全と調和とが宿ることを知ってしまったのだ俺はもう。

そんで、コンビニで会計を済ませて家に戻ったら、先にコンビニを出ていた神様が、ボーイフレンドといっしょにちょうどうちの道向かいにいた。ノーヘルで原チャリに2ケツしようとしているとこだった。そんでひょいって跨って2ケツしてゲラゲラ笑いながらパパーって走り去ってったよ。すごく、ちょっと覚えがないほど俺はいい気分、胸が空くとはこういうことか、という気分になった。その姿がめちゃくちゃヘルシーで、即時充足的で、享楽的だったからだ。彼女はどうやら権威や格式やスノッブさや思想上の美には一切興味がないようで(最上級のそれらすべてをすぐにでも手に入れられるのに)、それらが無意味だ、ということを、原チャのシートを跨ぐ一瞬で俺に教えてくれた。

ボーイフレンドにしがみつく彼女の、大きく空いた背中が、美しかった。他に言葉を知らない。あれを美しいというのだと思う。というわけで俺は今日、美とはなんたるかまで教えてもらってしまった。神様はケチケチしてなくて、お得なもんだ。そんで、神様たる彼女がこれからあのボーイフレンドと彼の部屋にしけ込んで、ナイスなセックスをしてくれればいいな、と思った。思ったし、俺がそんなおせっかいなこと思うまでもなく彼女はナイスだろう。だって運動神経にめちゃくちゃ秀でているもの。だから要するに、そういった彼女の特性すべてが善であり、その反対が屑であると俺は思った。俺はこの先の人生、さっき彼女に教わったことを指針にして生きてくことにするし、そうする他にない。ああすごかった。