海へ。ウェットスーツに着替える前から川にはまってズブ濡れになり、冷たい砂に笑い転げる。渡してあった丸太から滑り落ちたのだ。子供の頃、釣りに行くと俺に義務づけられた役割は常に「水にはまる」であり、久しぶりにその役目を遂げられた爽快感でいっぱいだ。たとえば、たとえば河原から流心に向かう飛び石があるとしよう。ひとつめ、ふたつめは歩幅くらい、しかしみっつめのインターバルはあからさまに遠い。そのとき、「余裕じゃん」とか「なんだよ行くよ俺は」とか言い添えながらみっつめまで跳躍し、着地と同時に滑って転ぶのが仕事である。もしくは、全員がボウズだった帰り、水路に鯉の群が背びれをなびかせていたとしよう。「ハトヤハトヤ!」とか言いながらつかみ取りにトライして、コケを踏み転び尻を濡らすのが仕事である。一言で指し示せばこの跳躍は世界への投企であり、投企こそが自分にとって唯一の光明かつ行動の指針であったのだ。たとえそれがあらかじめ失敗していたとしても。いつからか忘れてしまった自らの足場を、滑り転ぶことで思い出すこのシニック。

そんで今日はひさしぶりにステッピンナップな一日で、すこぶる機嫌がいい。混雑を避けるべくメジャーなポイントから1ブロックずらしたのだが、おかげでのびのびと、波の取り合いとも縁がなく練習にはげむことができた。ひとつひとつの動作が確実になり、慌てた素振りが少しずつ減っていく。現在の目標であるところの「横に走る」は達成できなかったものの、そのヒントは多く得て、しかも海に入っている間じゅう、楽しい気持ちでいっぱいだ。多幸感からか寒さもまったく感じない。ワックスを塗り替えたばかりだったのでボードが滑りがちだったのがやや心残りか。次回、気になっていたベースコートトップコートってやつを試してみようかと思っている。なんだかマニキュアの話題みたいだ。<28回目>東浪見、無風→オン、モモ〜コシ、トロめ→ややザワつき、3時間ちょい。

帰り、前回寄ったショップで売られていたボードが忘れられず、ふたたび寄る。やっぱいい。サイズもあまりに理想的。でも高い。買えない。分割? いやでも・・・。1万円を10回使うのはすぐなのに、10万は出せない財布の構造。悩む。売れちゃったらどうしよう。ああ。ショップカードをもらってきて、帰りずっと悩んでいた。女の買い物みたいだ、とタバタに笑われる。買い物、ニガテなんだよ、ほんと。イヤンなるけど。帰って仮眠、原稿少し。飲みに出て、ツタヤで返却、はじめての延滞料徴収。ドンキで日用品。帰宅。海からの帰りのクルマでタバタとも話したのだが、ちょっとした、しかしどいてくれないイライラの種があって気分が優れず、ヤケ食いしてしまう。現在58kg。あと2kg、できれば4kgは落としたい。先日惚れ込んでしまった新しいスケボーが来週届く。それまでは少し走ろうかとも思う。