ゲロ臭くて目が覚めたのなんて何年ぶりだろう。ジャリがあからさまに不愉快そうだ。シャワーを浴びて、洗濯。思えばズブロッカが悪かった。テッキーラで通せば乗り切れた気がする。ソファにはパンツ一丁の山口(半裸のゲロまみれ野郎なんて呼び捨てだ・笑)が転がっていて、やはりゲロ臭くてお互いに閉口する。日も傾いた頃にようやく復調。山口は友人宅へ、僕は映画を観に。

永瀬くんにジャリを預け、山手通りを歩いていたら、ツーパンツーシャツにゴーグルメットの完全装備でロードレーサーに乗った清志郎とすれ違った。こないだのたけしとは対極を行く好々爺ヴァイブ。でもすごい研ぎ澄まされた感じも。地元で会ったときとはちょっと違う感じがしたな。さっき彼の話をしていたところなのでおかしくて笑ってしまった。六本木までバスに乗って、あーバスで後ろの席に座った女子4人組が稀にみるananさんでかなり精神に悪かったのだが割愛して、えーと、バス停を降りたらAKIがいた(笑)。

行く先々でやたらと遭ってしまう有名人、という語り草の対象にはいろんなジャンルがあって、ある人にとっては楠田絵里子だったりある人にとってはジョビジョバのマギー(いまだに誰かわからない)だったりするようなのだが、たぶん僕らの世代にとって最も強力なのがAKIであることは間違いない。AKIといえば見かけバナ、と相場が決まっていて、しかも彼と遭遇するのは別に文脈的に腑に落ちやすい場所ばかりでなく、近所の図書館や名古屋の地下街などあまりに多岐に渡りすぎるため、誰もがもはや自分とAKIは何らかの赤い糸で結ばれているのだろう、とある種の諦念を抱きながら暮らしているのがこの日本の現状だ。

とはいってもここ数年、さすがのAKIも(他人にさすがって何だ・笑)いくらかバイタリティが落ちてきたようで、目撃談が減ってきて忘れかけていたところだった。ひさしぶりに見かけたAKIは、昔よりちょこっとだけ、あの独特の赤子がむずがるような疳の虫に蝕まれている感じが減っていて、でもやっぱりマッシュルームが伸びたような微妙なロンゲだった。見かけただけで個々人に90年代前中盤の記憶を丸ごとフラッシュバックさてしまうのだから、やはりそれはそれで貴重なパーソナリティだな、と思う。貴重なのに遭遇がインフレを起こしているところが良い。

おとついリョウタさんやハルコが行って評判よかったリヴェット。東京ダンスなんちゃら祭(正式名称はJADEなんちゃら)の一環として組まれたプログラムでデュエルがかかるのだ。ロビーでシゲミさん、もえぎさんとダーリン、あとシゲもえのお友達、などとお会いする。映画はねー、プリント悪かったけどアンダーでくぐもった色調がいちいち目に麗しくて素晴らしかったよ。煙った馬券売り場に差し込む光とか、鉄橋の手すりに小雨が打ち付けてるところとか。えんえん曇り空な映画が僕は大好きだから、その点においては眼福至極。最高だったのはさびれた水族館の水槽で、なにが最高ってでっかい錦鯉とでっかいウミガメが混泳してるんだよ! 博物学的なロジックも謎なら水質も謎。もうほんとにわけわかんない。ただ画が麗しいだけ。あ、お話はねー、えーと、マンガみたいだった。