今日から2日まで、仕事をしなくて済むよう少し調整をして、オフということにした。体調というか、夏バテが気になっていたところなので。ところが仕事がないとなると、これがまたやるべきことが山ほど出てきて普段より忙しい、という体たらくだ。今日はお礼参りシリーズということで、新しい事務所を開いたり自分のスタジオを作った人のところへお土産持って巡礼の旅へ出た。あと返却し忘れて溜め込んでいた図版をお返ししたり、請求書を届けたり(郵便さえ自由に使えれば・・・)。一日中移動づくめ。へとへとだ。

中でも、4年ほど前にたいへんお世話になったカメラマンの清水さんがスタジオを開いた武蔵小山は印象深かった。初めて行ったんだけど、クレしん大人帝国の20世紀博に迷い込んだか、と思わせるほど、気が狂いそうに昭和。西小山のような商店街の熱気さえもなく、ひなびた、さびれた、昭和の私鉄沿線がそっくりそのまま残ってしまっていた。町じゅうに銭湯とコインランドリーがやたらと目に付く。スナック街の看板はきちんと正しく怪しい。入った洋食屋では、耳の少し遠い、でも矍鑠とした老主人がシミひとつないコックコートにスカーフを結び、素晴らしくこなれた昭和スタイルのデミグラスソースを暖めている。メニューはたいてい1000円しない。

洋食屋を出てスタジオへ帰る道すがら、すててこに上半身裸の痩せた老人と、なぜか2度すれ違う(何かワープ航法の類を使っていたのだろう)。何人かから「すごい夕焼け!」というメールが入っていて、僕はそのときスタジオ内でくだらない話に花を咲かせていて気づかなかったんだけれど、着信時に気づいて見なくてよかったと思う。こんな町であんな(各所に上がっていたデジカメ画像を見た。禍々しいほど染まっていたようだが、あれは人が天変地異や凶相の兆しを欲しているから空が染まったのだ。それを補強するかのように、例外なくどの画像も色調補正がより強くかけられていた)夕焼けを見てしまったらほんとうに気が違ってしまっていただろう。

学芸大まで送ってもらって、渋谷でまたひとつ用事を済ませて、ノンで山口くんと待ち合わせをして恒例の音楽会(僕が知らない盤を彼が持ってきてアーだのホーだのイーグーだの言いながら聞かせてもらうだけ)になるはずだったのだが、さすがに昼間動きすぎてベッドにへたり込んでしまい、気が付いたら夜が明けていた。メールチェックを済ませていると山口くんが目を覚ましたので、早朝のレアグルーヴ大会と相成る。クリックハウスつうのが一回性の痙攣を特色とする歌心の発露したリズムトラックなんだとわかった。いま来日しているらしいAKUFENつうのは良いね。アパラチアンズ(だっけ?)がバカ方面に走ったディスコハウスのネクストなら、こちらは統御/抑制方面。けっこう好き。