(2/11の日記に追加)

先週はスケートで天国だったので今週はヘルな話をひとつ。代々木公園といえば、犬好きの間ではレアな犬種が一同に会する社交スポットとして有名なのですが、同時に犬コロを道具としたヴァニティ&スノッブ合戦の火花が散らされる悪しき戦場としても知られています。いままで近所であるにもかかわらず怖くて避けていたんだけど、ちょっと覗いてみたい気持ちを抑えられず、夕暮れ時に行って参りました。

いるいる、その数ざっと15頭、道を挟んだ反対側の斜面にも10頭。それもブルマスティフとかワイマラナーとかロットワイラーとか、図鑑でしかお目に掛かったことのないレア&高級犬種がぞろぞろ。対岸にもアイリッシュセターとかアフガンハウンドとか、目眩がしてきました。そんで8割がおばさんなんだけど、微妙な金持ち感が。目深に被った黒キャップ、モンクレーのダウン、エルメスのフールトゥなどが目に付きます。あと最近めっきり雑誌で見かけないけど顔に覚えのある元モデルさんとか。ここまで期待が裏切られないと胸躍ります。

軽い挨拶と犬にまつわる社交辞令を交わしていると、これが紛れもない公園文化、そして自分の公園デビューなのだと思い知らされました。それぞれの犬の名前はもちろん、あの人はたまに別の女性と散歩に来る、コッチ岸で何か粗相をしでかした飼い主はアッチ岸(すごい言葉だよね、これ)に行ってしまう、その逆もあり、エトセトラ、エトセトラ。いくつかの情報を流し込まれつつ、おそれおののく自分を押さえつけながら公園トークにいそしみます。途中、遠くから会釈だけして通過していく犬も多かったのが気になりましたがそれはさておき。

そんな中、僕の目をひいた1頭のゴールデンレトリーバーがいました。この日見かけたゴールデンは4頭、ゴールデンといえば最近は落ち着いてきたものの数年来のブーミー犬種、産めよ増やせよで粗悪なブリーディングも多かったと聞きます。でも他の3頭はもうショータイプと呼んで差し支えないピッカピカで、そんな傾向とはまったく無縁そうです。躾もよく入っていて、「愛犬の友」的ブリード主義者右派も太鼓判を押すでしょう。その是非はともかくとして(命あるものを画一的な基準でクラス付けること、つまり雑種=ダメ犬という血統主義への批判は別問題です)。

ところが、どうもこれはお世辞にも褒められたもんじゃないな、というゴールデンが1頭混じっているのです。犬の善し悪しに合点がいかないならスマップに僕が入った状態を想像してみてください。しかも、どうやら基本的な躾もままならない様子で、他人のボールを奪って涎まみれにしたりしてま、と思ったところで大変! ウチの犬に牙剥いたと思ったら追っかけていきます。ウチの大慌て! 逃げても逃げても追っかける。とうとう車道のほうまで。撥ねられたら間違いなく即死じゃんよ! オイコラテメ! 猛ダッシュ

200mくらい離れたところでようやく発見、名前を呼ぶとガチガチ震えています。そりゃそうだ怖かったろう・・・っつうかクソ犬どこ行った? なんと車道を渡れず道路際でこちらを見ています。殺す。うっわー、運良くクルマよけて渡れたからいいものの・・・。腰抜けた。マジで。

バッグを置いていたので元いた場所に戻ると、飼い主のバカアマが謝ってきました。殺してやろうかと思うのを収めつつあしらっていると、どうも反省の色がありません。というか帰るそぶりも見せません。そんで気づいたんですけど、この飼い主、あからさまに一人だけ飛び抜けてDQNなんです。恰好も立ち居振る舞いも。しかも、そのクソ犬、グッチの首輪とかしてるの。もうさ、ぜったいブランドモノの首輪なんて誰もしないわけですよ、こんな場所で。普通の神経なら。そしたらなんかよそのマダムがぼそっと「××ちゃん(クソゴールデン)にはほんとはちょっと来て欲しくないんですよ、ごめんなさいね」って。

別のマダムがぼそっと「××ちゃんには近づけない方がいいですよ、うちのもこないだ絡まれて、アタシ、本気で蹴っちゃったんですもの。もう来なくなるかと思ってたんですよ、そしたら××ちゃんのママ、『こないだ強い躾のお手本を見せてもらってワタシも変わりました』とかゆってて、ちょっともうね・・・」。つうか先に言えよ! しかしバカアマ、こんな陰で言われてることになんも気づかないんだろうか。気づかないんだろうなあ。ただ「このきらびやかな場所にワタシもいたい!」というだけなわけです。「ワタシも犬いるんです!仲間!仲間!」

もうクソゴールデンもイヤだし、そのクソゴールデン連れてきてるバカ女もイヤだし、そのバカ女蔑視してるエセハイソどももイヤで、結局ご近所の犬友達が誰もあそこに行かないのがとてもよくわかりました。とても僕の社交力でこなしていける世界ではありません。ちなみにカメラをぶら下げて珍しい犬の写真を撮っている鉄道マニアみたいなギャラリーまでいました。聞いたところでは、もうひとつの一大イヌ社交スポット、駒沢公園ではここまで熾烈な公園文化は育まれていないそうです。なぜならクルマで埼玉とか千葉から乗り付けてくる人が少なくないから、地元意識が希薄なのだとか。それも御免蒙りたいものですね。