日中浴槽睡眠。そんできのう出欠確認の電話がはいったゼミの追いコンへ。

やーまず店のチョイスからしてもろ月9系。なんにせよよくがんばった、オレ。きょうはよくやったよ!例によってほんっと所在なかったんだけど、学生ノリの飲み会なんてもうすることないかと思ったら意外と踏ん張りきいて、OBにお酌してまわったり「ゲンさん卒業おめでとーございますー」おうよ!とかいって握手したり。「ゲンさん飲めー!」はい!ごきゅごきゅごきゅぷはあ。

ま、そういう飲み会をたびたび催すことによって結束を深めるようなゼミなので、少なからず内向的だったりパワフルなものになじめなかったりする何人かは離れていってしまうのだけれど、いっこ下に半年あまりで退ゼミしてしまったそんな男の子がおりまして。

もうその子はファーストインプレッションからして僕的にうっとりで、しなやかでまっすぐな髪の毛をぺったんこの七三にわけているさまは、パチンと留めるヘアピン差しちゃいたくなるほどかわいらしかったし、ぱっちりくりくりのお目々とちょっと小ぶりだけど筋の通ったかわいらしい鼻と、それから控えめな薄いくちびるとが危なっかしいくらいのバランス感覚であどけない表情を見せていて、とにかくもう僕は一目で気に入ってしまって。そんでまたやせっぽちなんだ。紺とブルーのちょうちん袖みたいになってるボーダーニットとか着ててさ。カバンたすき掛けにして。少しだけサユリに似てて、サユリ見るたびにその子のこと思い出すんだけど。

見かけからしてそんな桜貝みたいに脆そうな男の子だったんで、後期がはじまってすぐかな、やっぱりゼミには馴染めないから辞めたいと言い始めて。同期の男の子たちとはあんまり話することもなかったみたいだし、僕も下の女の子に引き止めるように頼まれたりしたんだけど、僕はそんとき止めなかったんだよ。なんせ僕だっていいかげんゼミに嫌気差していたし、大学2年の夏過ぎに就職がどうしたとか言ってる連中と反りが合うはずもないと思っていたから。

そんなこんなで秋口にゼミを辞めちゃってからはその子と会うこともめっきり減っちゃったんだけど、たまにロビーとかエレベーターではち合わせたりするとうれしくて始業のベルが鳴っても立ち話してたりして。「いまヴェスパ欲しいんですよ」マジー?買っちゃえ!的な。でもちゃんと対話じみたスタイルで語り合う機会は一度もないままだったんだけど。

飲み会の最中でそいつも卒業だよどうしてるかなーなんて思ってたらさ、いっこ下の女の子が「ゲンさん言いにくいんですけど・・・」って。なに?告白なら遠慮せずにさあどうぞ。

そのカワイ子ちゃん死んじまったんだって。ついこないだ。自殺だって。

あのさ、頼むからさ、もうこれ以上僕を。ああもうこの世界のあんぽんたんときたら。ちょっと聞いたらずいぶん周到に後始末とかしたうえで死んだらしくてさ、学校もきちんと卒業して。遺影にはこれ使ってくれとか指定してたらしくて。それがなんかスタイリストな彼っぽくて笑っちゃったんだけど。

ものすごい傲慢なのは承知で言うけど、僕はなにが彼を殺したのかほんのちょっとだけ知ってる。でね、それは僕のカワイ子ちゃんを殺したっていう一点において圧倒的に敵だね。敵だと認識した。エネミー発見→Locked onしたからには、闘っていくことにしたから。冗談じゃないから。まずは自分の腹ん中にいる敵から。見てろよ。