きのうの日記、大事なこと忘れていた。定員各5人で4枠あったパティトゥッチクリニックの最終枠に、アンサンブルのクラスを終えてからダメもとで滑り込んだところ、なぜか生徒が俺入れて3人しかいなくて、たいへん濃密な時間を過ごしたのだった。午前の枠は早々に埋まっていたのになあ。

なにが濃密って、まず楽器を取り出して鳴らしたらいきなり音が出ない。正確に言うと出るのだが蚊の羽音みたいなへんな音。電池切れだ!遅れてきて弾き始めたと思ったらいきなりいなくなって、汗だくで電池を買って戻ってくるという、挙動不審な子になってしまった。しかも他のふたり、トルコ人のヤーマンとイスラエルのひと名前失念がめちゃくちゃうまい。ぜんぜんプロじゃんみたいなレベルで、とんでもないとこに顔を出しちゃったな。開き直ってできないところをさらけ出した。

したらパティトゥッチは自宅でも先生やってるくらいだから瞬時におれのレベルを見抜いて、すごく的確なアドバイスをくれたのだった。楽器はパソコンのキーボードとは違う。次会うときまでにマイルスのSo Whatのトランペットソロを採譜して弾けるようになっておいて。難しいフレーズはない曲だけど、ニュアンスがすごく微妙かつ多彩なので、そこを意識するように。僕もいまだに新譜をチェックして気に入ったソロがあれば採譜してるよ。一生続く道のりだと思う、お互いがんばろう。

しかも下手な英語でもいらいらしないで付き合ってくれるし、すごい親身になって話してくれるし親日家だし(奥さんは日本とどこかのハーフの方だそう)、なにより奏でる音色が音楽的だし、パティトゥッチほんと尊敬できるし好きだー。学校関係なくなっても習いに行きたいくらいだなー。

さて本日はイヤトレが水曜の続き、ハーモニーも水曜の続きで転調。題材はMUSEの「シドニアの騎士」。ロックバンドにありがちなド天然トライアド世界で、理論的に分析しようとするとすごく解釈が難しい曲だった。昼にESLのプレゼンに向けてチームミーティング、チャイニーズのミンちゃんが欠席ですごく心配。他人の心配してる場合じゃないのだが、クラシック出身のミンちゃんは情報戦に極端に弱くて、あらゆる科目で落ちこぼれかけていて、あれ立て直せるのだろうか。

いったん帰宅して、晩に、楽しみにしていた大河くん主催の「キューバップ」上映会。うーん、演奏は素晴らしかったけど、とにかくホームビデオ感がすごくて、それがたまらん臨場感を生むシーンもいくつかあったんだけど、多くの時間帯においては冗長さのほうが勝ってしまっていて、しんどかった。それでもあらゆる演奏シーンは目を剥くような水準のものがあった。生活と音楽と人生がまぜこぜに一緒くたになった、馬が路地を走るキューバの郊外。そらアホほど上手くなるわな、とも思った。