自分から挙手したのだが、遊佐未森さんのインタビューという、とてもとても難しいタイプの取材だった。なにしろ心の柔らかい部分のことすぎる。僕はスライやテディ・ペンターグラスやビズマーキーと同時に、遊佐未森の好きな子供だった。こういうことをうまく説明するのは難しい。ちなみに入り口はeZだった。eZの話ができる人なら、少しはわかってもらえるのではないかという淡い期待もある。

人間は多面体である。それが情報の少ない80年代の、地方都市といっていい立川の子供なら、なおさらのこと、へんなバイアスとへんな同居がこんぐらがる。僕がEPOや達郎や妙子の好きな子供だったことは友達はみんな知っているけど、同時にザバダックだって好きだったし、遡ればゲルニカも好きだし、ジャックブルースもスティーブハリスも好きだ。ぐしゃぐしゃー。カンタベリーまでは手が伸びていなかった。

行く前からわかっていたことだけれど、案の定インタビューはとっ散らかった。それでもいくつかの有用な材料は取ってこれたので(材料を取ってくると書いて取材ですよ)、あとは原稿で腕を見せるしかなかろう。